2015.12.2 13:52

X JAPANと運命共同体の絆/芸能ショナイ業務話

X JAPANと運命共同体の絆/芸能ショナイ業務話

特集:
芸能ショナイ業務話
紅白歌合戦
超満員のライブハウスで圧巻のパフォーマンスを行い、ファンを熱狂させたX JAPAN=宮城・石巻市

超満員のライブハウスで圧巻のパフォーマンスを行い、ファンを熱狂させたX JAPAN=宮城・石巻市【拡大】

 運命共同体。これはロックバンド、X JAPANを支え続けているファンの愛称だ。X JAPANが20年ぶりとなる日本ツアーをスタートした。初日は東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城・石巻市内の150人収容の小さなライブハウス「石巻ブルーレジスタンス」。100人規模でのライブはデビュー直後の1991年12月以来24年ぶりでライブは「紅」「X」「Forever Love」などヒット曲のオンパレード。リーダーのYOSHIKIが「僕らも初心に帰るという意味でライブハウスからスタートできるのはいいと思う」と語ったようにメンバーとファンが手の届く距離で一体になった光景は圧巻だった。

 X JAPANは、震災発生直後から、YOSHIKIがクリスタルピアノをチャリティーオークションに出品したり、ギターのSUGIZOが石巻市でボランティア活動に参加するなど、精力的に支援活動を実施。今回の被災地ライブは、一昨年9月にYOSHIKIが石巻市の小学校などを慰問した際にライブハウスを訪れ、「ここでツアーを始められたら」と発した言葉を忘れずにチャリティー公演として有言実行した形となった。

 被災地ライブは運命共同体の協力があって実現した。観客の半数は地元の石巻など近隣都市の被災者を無料招待。残り半数のチケットはチャリティーオークションに出品し、落札額の計約2800万円を被災地に全額寄付した。オークションに参加したものの、落札できなかったファンも多く、YOSHIKIは「ライブハウスということで、どれだけの寄付ができるのかと思っていたけれど、相当高いチケットになっちゃった。チケット代はファンの皆さんの気持ちがあって集まったもの。その気持ちが本当にありがたい」と感謝した。

 メンバーを取材していると、必ず応援してくれるファンのことを口にする。被災者へ向けたメッセージでも、ToshIが「皆さんとは運命共同体。力を合わせて前に進んでいこうぜ!!」と呼びかければ、YOSHIKIも「X JAPANもメンバーが亡くなったり、いろいろなことがあったけれど、みんなのおかげで前に進んでいけている。何があっても前に向かっていく大切さを伝えたい」と話していた。

 X JAPANは、ToshIのバンド脱退から1997年の解散、HIDEさんの突然の死。そして2007年の再結成から米国進出、ワールドツアー、TAIJIさんの死、米音楽の殿堂、マディソン・スクエア・ガーデン公演の成功など、その活動は波瀾(はらん)万丈に満ちている。

 紆余(うよ)曲折があるバンドだけにファンが離れるかと思いきや、ほとんどなく、逆に世界へ進出して以降、人気はどんどん海外へも波及。いまや運命共同体も世界レベルとなっている。あるファンは「Xと運命共同体はうれしいことも悲しいことも共有するから、運命共同体なんです」と教えてくれた。他のファンの思いも同じようで、バンドの公式ファンクラブなどがないのにもかかわらず一致団結し、熱い思いを注ぎ続けている。

 しかも、いつもメンバーの思いをくみ取って行動している。石巻公演に来場したファンも「被災地が少しでも潤うように」と現地で宿を取り、食事をし、必要なものはすべて調達。ライブ前にはきちんと整列して開場を待ち、現地を訪れたファンがライブに行けなかったファンに向けて、ツイッターやFacebookを使ってライブの様子を拡散。それを見たファンが情報をさらに広げていく。英語や中国語での紹介もあって、YOSHIKIが「震災を風化させちゃいけない。もっと世界へ伝えていければ」の言葉通り、石巻の様子も、翌日までYahoo!のエンタメトップに取り上げられていた。

 この状況をみていて、ファンはメンバーの1人なのだと思った。一人一人が喜びも痛みもともに感じ、メンバーと同じような自覚を持って行動している。その支えをX JAPANのメンバーは、肌で感じているからこそ、いつも自然と感謝の思いを口にするのだ。

 もちろん、ファンの思いをつかむ素晴らしい音楽やメンバーの実力や行動があってのことだと思うが、活動するにあたってファンのバックアップが大きな糧になっていることは間違いない。色々なトラブルが起こることは大変ではあるが、その度に強くなっているバンドでもある。年末には18年ぶりにNHK紅白歌合戦へ出場し、来年3月12日には英音楽の聖地、ウエンブリーアリーナでの公演も控えている。X JAPANが運命共同体との深い絆で、世界の勝者になるのを見届けていきたい。(ちゅん)