2015.8.3 12:28

加藤武さんの急死と、訃報が相次ぐ「東京やなぎ句会」/芸能ショナイ業務話

加藤武さんの急死と、訃報が相次ぐ「東京やなぎ句会」/芸能ショナイ業務話

特集:
芸能ショナイ業務話
加藤武氏

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 俳優の加藤武さんが亡くなられたとの報が、1日に入ってきました。その前日の7月31日、スポーツジムのサウナで倒れられたとのことでした。文学座によると病気もなく元気で、9月からの主演舞台の準備もされていたそうです。86歳とご高齢ながら、昨年の主演舞台で演劇賞を複数受賞するなど、まだまだ現役で活躍中だっただけに、急死の報は残念でした。

 俳優としての長年の業績はここで改めて記すまでもないことですが、加藤さんの俳優活動以外の“個性”に着目したことがありました。

 エッセイストの江國滋さんが1997年8月に壮絶ながん闘病の末に亡くなられたことを取材した際に、江國さんが俳句同好会の「東京やなぎ句会」の中心的メンバーで、加藤さんもそのお仲間の1人と知りました。

 江國さんをはじめ永六輔さん、小沢昭一さん、桂米朝さん、柳家小三治さんら粋で洒脱な方々に混じって、“硬質”でややこわもてなイメージを(勝手に)抱いていた加藤さんが「阿吽(あうん)」という俳号でメンバーに入っていることが最初は意外でした。ただ、築地生まれの江戸っ子で麻布中学時代から小沢さんと親しく、趣味も多彩だったことなどを同時に知ることができ、“見る目”を新たにしたものでした。

 私自身は俳句をたしなむ者ではありませんが、その後も東京やなぎ句会が発刊された本などを通じて楽しませてもらっていました。その句会の方々も小沢さんが2012年に鬼籍に入られ、今年は米朝さんが3月、入船亭扇橋さんが7月10日、そして加藤さんと訃報が相次いでいるのは寂しい限りです。

 亡くなられたことは残念なことですが、大病することもなく直前まで元気だったという加藤さん。小沢さんのエッセーなどによると、加藤さんは若いころから体を鍛え上げていたそうで、今ごろ天国で「スポーツジムで倒れて急死なんて、阿吽らしい」などとお仲間につっこまれながら、ワイワイと句会を開いている図を想像すると、やはり仲間の存在はいいなと思ったりもします。加藤武さんのご冥福を心よりお祈りいたします。(しのきち)