2014.10.1 16:40

サッカー番組の「トニー」お手柄、溺れた女性3人を救助 競輪2選手と協力

水難現場で取材を受けるトニー・クロスビーさん。このときは誰もタレントとは気付かなかった=8月26日、秋田市の下浜海水浴場(渡辺浩撮影)

水難現場で取材を受けるトニー・クロスビーさん。このときは誰もタレントとは気付かなかった=8月26日、秋田市の下浜海水浴場(渡辺浩撮影)【拡大】

 テレビのサッカー番組のコメンテーターとして知られる英国人タレントでデザイナーのトニー・クロスビーさん(52)=東京都品川区=と、競輪の坂本毅(42)、守沢太志(29)両選手=いずれも秋田県大仙市=が8月、秋田市の海水浴場で溺れた女性3人を救助していたことが分かった。クロスビーさんらは産経新聞の取材に「無我夢中だった。助けることができてよかった」と救出劇を振り返った。

 水難事故があったのは8月26日午後1時45分ごろ。秋田市の下浜海水浴場で、岩手県から来ていた18~19歳の女性3人が数十メートル沖で次々と溺れた。助けを求める声を聞いたクロスビーさんはビニールボートを持って泳ぎ、1人を浜辺まで抱えて運んだ。

 坂本選手と守沢選手が残る2人を水上バイクで次々救助。3人はドクターヘリや救急車で病院に運ばれたが、命に別条はなかった。

 クロスビーさんはデザイナーとして活躍する一方で、フジテレビ系で放送されていたサッカー番組「FOOTBALL CX」などに出演。現在もテレビなどで流暢(りゅうちょう)な日本語でサッカーや英国文化についてコメントしている。「リヴァプールより悪意をこめて」などの著書がある。

 現場では複数のメディアが取材したが、当時はクロスビーさんとは誰も気付かなかった。

 クロスビーさんはこの日、日本人の妻(49)の実家がある秋田に子供2人と一緒に来ていた。「沖に向かって走り、足が立たなくなってからは必死で泳いだ。ビニールボートを持っていたが、女性を乗せることはできず、ボートと女性を両脇に抱えて浜辺に向かって泳いだ。命懸けだったよ」と話した。

 さらに「浜辺に近付いたら警察官が来ていたけど、海に入ってこようとしないし、ぐったりしている女性に『住所は?』って聞いていた。日本の警察どうなってるの?」と毒舌ぶりを発揮した。

 競輪選手2人は、秋田県美郷町の六郷自転車競技場を拠点に各地のレースに出ている。この日は選手仲間3人と一緒に水上バイクに乗りに来ていた。

 坂本選手は9月16日に300勝を達成したベテラン。「水上バイクで駆け付けたら、女性3人が海面の下にいた。いつも来ている海水浴場に人命救助で恩返しができた」と語った。

 守沢選手は大曲農高から明大に進み、平成17年の岡山国体で成年男子ポイントレースで優勝。競輪選手になり、S級で活躍している。「自分も小さいころ、海で溺れて助けられたことがある。みんな無事でよかった」と喜んだ。(産経新聞)