2013.6.24 18:40(5/5ページ)

【軍事のツボ】辛坊治郎氏の海難救助取材記

特集:
軍事のツボ

 US-2の存在はその安心感を現実のものにしている。恩恵を受けるのは民間人だけではなく、海自や空自、それから米軍にまで及ぶ。航続距離が長く、世界最高水準の耐候性を備える救難飛行艇について海自幹部は「この機があるおかげで、洋上遠くを哨戒飛行するP-3Cの乗組員も任務により専念できる」と話す。

 第2次大戦時、米軍は潜水艦を不時着水したパイロットの捜索救難任務にも就かせた。これで数多くのパイロットが生還し、再び航空機に搭乗して戦うことができた。残念ながら日本軍はそのようなシステムを備えていなかった。

 厚木航空基地での記者会見の間中、辛坊氏はひとつのワッペンを握りしめていた。救助された際、海自隊員に名前を聞いたところ、「規則で名前は教えられないということで、せめて部隊名だけでも教えてほしいと言うと、このワッペンをくれたんです」。

 この話に“シビれ”た。そして、とても大事そうにしていたのが印象に残った。

 ワッペンは海自の救難飛行隊である第71航空隊のものだ。岩国航空基地(山口県岩国市)が本拠地で、厚木航空基地にもUS-2を1機配備して、緊急事態に備えている。この日は2機が厚木航空基地から飛び立ったが、「1機はたまたま来ていた」(海自関係者)というから、ラッキーだった。

 取材の翌日、この話を妻子にすると、妻は「女子ならこんなことをされると、絶対ほれるわ」と断言した。(梶川浩伸)