2013.6.24 18:40(3/5ページ)

【軍事のツボ】辛坊治郎氏の海難救助取材記

特集:
軍事のツボ

 それは航続距離(滞空時間)の点でも同様だ。2番機は離陸から7時間半ほども行動している。4700キロとされる航続距離を巡航速度470キロで単純に割ると10時間となるが、実際には悪天候の中での飛行や着水して救助活動を行うことなどを考慮すると、余裕はほとんどないだろう。

 「世界的に見ても自衛隊の救難隊はトップレベル」と海自幹部が話すのも納得できる。

 やがて滑走路の南方からUS-2の前照灯が見えてきた。海自広報から事前に「到着は午後10時30分」と聞いていた、その時刻ぴったりにタイヤが滑走路に降りた。

 着陸した2番機の3番エンジンは、プロペラのピッチ(角度)を変えブレード(羽根)を進行方向と平行にして空気抵抗をできるだけ少なくするフェザリングをしていた。数十メートルの至近距離で暗い中で雨に濡れる同機の姿を見、ターボプロップ機独特の「ビーン」というエンジン音を聞き、ケロシン(燃料)が燃焼したにおいを感じたとき、これまで何人もの自衛官から「われわれは命じられれば『できません』とは決して言えない」と聞いてきた、その言葉が脳裏をよぎった。

 ターミナルビル内で会見に臨んだ辛坊氏と岩本氏は、厳しい表情ながらも思ったほどやつれていなかった。そして2人が目に涙を浮かべながら繰り返し口にしていたのは、海自や海保など救助に携わった関係者に対する感謝の言葉だ。

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