西田敏行さんの「おかかー!」、夫婦愛自然に出せた

大河のころ 佐久間良子(4)
「おんな太閤記」の制作発表で。左から西田、佐久間、徳川家康役の故フランキー堺さん=1979年撮影

 私がねね役で主演をさせていただいた1981年の「おんな太閤記」では、豊臣秀吉(藤吉郎)を演じられた西田敏行さん(70)のせりふ「おかかー」が流行語になりました。

 私と西田さんは夫婦役。回を重ねていくうちに自然に息が合っていきました。新婚のねねは夕飯の支度をしていて、野菜のお汁をひしゃくでかきまわしている。そこに「おかかー!」って声が聞こえてくると、ひしゃくを持ったまま「お帰りー!」って飛び出していく。そんな細かい仕草にも夫婦愛が自然に出せたんじゃないかな。この言葉が流行って、プライベートの友達からも「おかかー!」って呼ばれたほどでした。

 西田さんの演技はすごかった。畑の中で私に愛を語るシーンがあって、スタジオには美術さんが作ってくれた畑に大根が植えてある。西田さんがその大根を抜きながら私に求愛するんです。そんなシーンが延々と続くんですよ。畑を耕しながら思いの丈を語る。そしてまた耕し、愛を語る。西田さんが迫ってきて私は畑を逃げ回りましたが、西田さんの情熱に追い込まれました。西田さんはせりふが大変だったと思います。私はそれを聞いているだけでしたが(笑)。

 そんな秀吉も位が上がってくるといろいろな女性問題が起こります。ねねは戒めたりするんですが、秀吉はとても可愛げがあって何か許せてしまうんですよね。西田さんのお人柄もあると思います。そんな西田さんとの夫婦役はとても楽しい仕事でした。

 やっぱり、「おんな太閤記」が初めての大河ドラマだった脚本家の橋田壽賀子さんの本が良かったんだと思います。秀吉だけではなく、ねねがだんだん成長していくことについてもとても納得がいきましたね。ねねさんの天性がどーんと秀吉を支えていた。

 大河ドラマの主人公を女性に設定することを決断したNHKも運をかけていたんじゃないでしょうか。そういう意味では新しい光を大河に当てた作品だった。女優として大河の歴史に名を残せたことは私にとって大きな財産だと思っています。(おわり)

ねねと藤吉郎の出会い

 永禄3年5月、織田信長軍は尾張国・桶狭間の戦いで今川義元を打ち破って凱旋する。その人ごみの中に戦で傷ついた父(久米明)の安否を気遣う足軽頭の娘、ねね(佐久間)と妹やや(浅茅陽子)の姿があった。傷を負った父は前田犬千代(滝田栄)と足軽の木下藤吉郎(西田敏行)に助けられて帰郷。ねねはイケメンの犬千代に恋心を抱くが、彼には妻(音無美紀子)がいた。そんなねねに言い寄ったのが藤吉郎だった…。

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