映画「SUNNY 強い気持ち・強い愛」(31日公開)から学ぶ“本当の自分”/週末エンタメ

 
映画「SUNNY 強い気持ち・強い愛」(C)2018「SUNNY」製作委員会

 31日に公開される映画「SUNNY 強い気持ち・強い愛」は、日本で2012年に公開された韓国映画「サニー 永遠の仲間たち」を原作とする音楽青春ストーリー。「モテキ」の大ヒットで知られる大根仁監督(49)が劇場で「サニー」を3回見て滂沱(ぼうだ)の涙を流すほど感動したことをきっかけに自身が日本リメイク版のメガホンをとることになった。

 オリジナル版は80年代の民主化闘争という韓国社会の大きな変化を背景としているが、日本リメイク版は90年代中盤のコギャル全盛期を象徴とする日本社会の転換点を過去に、そして2018年をストーリー上の現在に配置した。

 淡路島から東京の高校に転校した奈美は、ルーズソックスに超ミニスカ姿のコギャル集団「SUNNY(サニー)」に加わり自由と刺激に満ちた学園生活を過ごしていた。それから20年余。現在は高収入の夫と一人娘に囲まれ専業主婦として安定した日々を過ごしているが、物足りなさは募るばかり。そんなとき「サニー」の仲間だった芹香(板谷由夏)と偶然再会。芹香はがんで入院生活を送っており余命1カ月を宣告されていた。

 90年代の奈美を演じる広瀬すず(20)の強烈でコミカルな弾けっぷりと、現在の奈美を演じる篠原涼子(45)の憂いを含んだしっとりさが、それぞれの時代を覆う雰囲気を醸し出している。

 90年代のコギャルたちは女子のエネルギーをおっさん社会に突きつけるラジカルな存在であったのに対し、現在の「サニー」の面々はおっさんに抑圧され浮かない人生を送っている。夫とはセックスレスの奈美、夫の浮気にいらつく裕子(小池栄子)、夫の暴力に苦しんで離婚した心(ともさかりえ)、ギャンブル依存症の夫のためにブラック企業で働く梅(渡辺直美)。誰もが家庭や職場の悩みを抱えながら「自分の存在って何?」と自問自答を繰り返す。

 しかし、だからこそ「サニー」の仲間たちは自身の人生について自覚的であり、家庭や職場を仕切ろうとする男の権力性に対峙する“思考する大人”として立ち現れている。コギャル時代に培った限りない自由の精神は決して滅びてはいないのだ。

 女性の友情と生き方を描いてはいるが、男性が見ても考えさせられることは多い。もし会社を定年退職したり解雇されたり、そんな状況になった場合、自分に何が残るのか。果たして「サニー」の面々のように自己を見つめ直すことができるだろうか。そして自分を支えてくれる人間関係は残っているだろうか。そのような視点から見ると「サニー」の面々が日だまりのようなまぶしい存在として映るはずだ。

 「SWEET 19 BLUES」(安室奈美恵)、「強い気持ち・強い愛」(小沢健二)、「そばかす」(JUDY AND MARY)など、この作品を彩る90年代J-POPのメロディーが心にしみた。(鄭孝俊)

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