細田守監督が未来の家族像に迫ったアニメ映画「未来のミライ」/週末エンタメ

 

 「時をかける少女」「サマーウォーズ」「おおかみこどもの雨と雪」「バケモノの子」で知られる細田守監督(50)の最新長編アニメ映画「未来のミライ」が7月20日に公開される。

 甘えん坊の4歳の男の子、くんちゃんの家に妹のミライちゃんがやってきた。お父さんとお母さんは生まれて間もないミライちゃんにかかりきり。寂しさを感じたくんちゃんは驚きの行動に出る…という物語だ。

 2人目の子供の登場による長男の赤ちゃん返りと言えばその通りなのだが、ストーリーはそこから急展開し輪廻(りんね)転生の世界へと観客を誘う。注目点はまずミライちゃんの存在。生まれたばかりのミライちゃんが大きくなり、未来からくんちゃんの世界に舞い戻り、くんちゃんに“大人のレッスン”を授ける。このタイムスリップ劇には「時をかける少女」のイメージが重なる。

 未来のミライちゃんによってさまざまな冒険を体験するくんちゃん。4歳の男児にとっては想像を絶する恐怖の連続である。観客はそこに幼児であるくんちゃんの絶対的脆弱(ぜいじゃく)性を発見し、いたたまれない気持ちになるだろう。しかし、間一髪で優しい救いの手が差し伸べられ、くんちゃんは少しずつ成長していく。さまざまな人間関係によって自身が構築されたというその歴史を学んでいくのだ。

 学ぶのはくんちゃんだけではない。フリーの建築家であるくんちゃんのお父さんは、仕事と育児の両立を目指すが失敗ばかり。くんちゃんのお母さんも子育て、出張と大忙しで片付けが苦手。この大人2人もミライちゃんの登場で変化していく。

 くんちゃんは上白石萌歌(18)、未来のミライちゃんは黒木華(28)、おとうさんは星野源(37)、おかあさんは麻生久美子(40)がそれぞれ声を担当。完成披露試写会で星野が「世界中で多様性のある家族が描かれている。家族って何だ、というファミリームービーの最先端の作品だと思いました」と語ったように、父権主義的なあり方ではなく、第2子の登場によって家族全員が成長を遂げていく姿、そして人間と動物、過去と未来を包摂する多文化主義が美的筆致によってほほえましく描かれる。このアニメはまさしくこれからの家族像の“ミライ”を指し示しているのだ。(鄭孝俊)

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