春本番の一大イベント、乗っ込みマダイが好スタートを切った。千葉県鋸南町・保田『東丸』では3月中旬から3キロ、4キロの良型が仕留められ、状況次第では大中小交じりの数釣りも楽しめている。今後、本格的な乗っ込みシーズンに突入すれば、大型マダイとの出会いもチャンス倍増。港に急行した。
晴天ベタ凪、絶好の釣り日和。港からすぐの保田沖。藤平隆一船長から「コマセはまき過ぎないように。指示ダナは海面からのカウントです」などと要点をついたアドバイスがアナウンスされる。頭にたたき込んで期待の第1投。指示ダナは50メートルだ。まずは様子見、5分ほどで回収。ハリがない。「この辺に多いのはサバフグですよ」と中乗りさん。いきなり難敵出現だ。
そんな私をよそに隣の早川宏さん(60、川崎市)が早くも竿を曲げた。慣れた手つきで取り込んだのは1・3キロのやや黒みがかった乗っ込みのマダイ。「いろいろやりますが、マダイが一番好き。竿が突っ込む瞬間、その後のやり取りは繊細で面白いですね」と笑顔を見せた。
あちらこちらで本命が上がり始めた。モーニングタイムだ。乗り遅れまいと誘いをかける。クンっと小さなアタリ。サクッと合わせて巻き上げるが、これは良型のアジ。すでに乗り遅れたか。
アタリが遠くなり、富浦沖へ移動。ここでも再びハリが取られる。「ここはトラフグです」と中乗りさん。その言葉通り、左トモ側で立派なトラフグが上がった。うらやましいが、この仕掛けでは難敵過ぎ。ハリを結びながら我慢の釣りだ。
置き竿にした竿先が奇妙な動きを見せた。即座に合わせる。ギュンギュンと抵抗が始まった。マダイだ。5メートルほど手巻きで感触を確かめる。1キロ前後かと皮算用し、電動リールで巻き上げ開始。大きく曲がる竿の重み、至福の瞬間だ。その重みがフッと消えた。抜けた。痛恨のバラシ。ワンチャンスをモノにできないままタイムアップを迎えた。隣の早川さんは5尾目をゲットして見事に竿頭となった。
大型は姿を見せなかったが、渋い日なりに対応できれば数釣りも可能、と常連さんが実証してくれた。これから乗っ込み本番を迎えれば、修業が足りない自分の竿にも大型のマダイがやって来るかも!?(APC・森川共也)