スルメイカの大群が押し寄せ各地でお祭り騒ぎだ! 中でも東京湾口・洲崎沖や沖の瀬といった一級ポイントでは連日束超えを記録している。この時期釣れるスルメは通称“ニセマイカ”という中型で、秋生まれの回遊性のイカ。身は軟らかく甘みがあり、特に刺し身が絶品だ。脂の乗った肝を溶かした肝じょうゆもたまらない。今がチャンスとばかりに神奈川県横須賀市・長井『儀兵衛丸』へ向かった。
人気ゆえ、2隻体制で出船した。約1時間で洲崎沖の西へ。10数隻の船団があり、早出の船では船上干しが見られて気分が高まる。「どうぞ。底は185メートル。反応は150メートルから出ています」。夏井幸弘船長の合図でオモリを投げ込んだ。
18センチプラヅノの直結12本で開始。浮いたところをリサーチしながら落とし込むと150メートルあたりでサワリが。10メートル落としてスローで巻くと竿先が沈む。ギュンと合わせるとグンと重みが加わった。そのままスローで巻くとさらに重くなった。何尾か付いたぞ! ここで中速へ上げるとグングンと引き込む。投げた仕掛けは前方へ出たものの、巻き上げてくると今度は船下へ糸が入る。二枚潮だ! 糸が緩まないようにさらにスピードを上げて巻く。胴長30センチ前後のスルメ3点掛けだ。
幸先はいいが、「潮が速いので上げたら待ってて」と船長。旋回してすぐに再開。早いピッチで移動を繰り返す。4投目、「浮いた反応です。120メートルから底まで。底は200メートル」。120メートルからゆっくり落とし込むと130メートル付近でサワる。140メートルで我慢の限界。糸を止めて合わせる。重い。リールが悲鳴を上げる。中オモリをつかんだ指に糸が食い込む。1尾2尾…8点掛けだ! 周囲も多点掛けしたようでイカの吐いた水鉄砲が飛び散った。これが噂のイカ祭りだ。