【竿々学々】
――師匠、年明け後も“ノドグロ”が絶好調のようですね。しかも浜値でも1匹ウン千円級の大型も交じっているらしいじゃないですか。
「おお、利根川河口沖(犬吠埼沖)の一帯で好釣果が連発している。サイズにバラつきはあるが、時には50センチを超える超ド級も交じっている」
――50センチ級のアカムツって釣ったことないんですが、そんなに大きくなるんですね。
「ああ、平均サイズってことになると30~40センチ級で40センチを超えるモノは、値段もグッと跳ね上がる。さらにその上のサイズとなると、数はグッと少なくなるが、最大は60センチ級までは確認されている。今シーズンは、毎日のように47、48センチから51、52センチ級が釣れているからな」
――確か最近は、規定匹数が決められていましたよね。
「ああ、茨城・波崎港から千葉・外川港、飯岡港から出ている釣り船では、上限10匹の規定匹数(申し合わせ)を設けている。日並み、潮ぐあいに恵まれれば乗船者の大半がこれに到達することも珍しくないというから、魚影の濃さは疑いようがないな」
――釣り場の水深はどのくらいなんですか。
「場所によって少し差はあるようだが、大体200~250メートルってところだな」
――結構深いんですね。
「ああ、この時期だとどこも水深200メートル以上の深場が中心だな」
――ということは、電動リールの出番ですね。
「まあな。昔なら『200~300メートルなら手巻きで!』と言っていたところだが、最近じゃすっかり“文明の利器”頼りになっちまったな」
――今さら何を言っているんですか。最近では、ワカサギ釣りですら電動リールが当たり前に使われているんですよ。便利な道具は使えばいいんですよ。師匠も電動リール持っているんでしょう。
「ああ、俺が持っていないことを知った後輩たちが、結構いいやつをプレゼントしてくれた」
――それ、使ったんですか。
「いいや。ここんとこ電動リールを使うような釣り物には、行っていなかったしな」
――それじゃ、今回のアカムツ釣りを使い初めにしましょうよ。
「“ノドグロ”か。そういえば久しく食ってないな。波崎の船長にもしばらく会っていないし、久しぶりに行ってみるか」
――行きましょうよ。
「父君も行くかな」
――“ノドグロ”が絶好調って教えてくれたのは父ですよ。行きたいに決まっているじゃないですか。
「よし。波崎の船長に予約の電話をするから、父君の都合を聞いてくれ」
――はい。分かりました。