【竿々学々】
――師匠、最近じゃすっかりポピュラーになった感がある“寒イサキ”ですが、今シーズンは絶好調のようですね。
「おお、確かにな。その昔は、イサキといえば初夏が旬の釣り物だったんだが、最近じゃ周年釣られるようになり、“寒イサキ”という言い方もすっかり定着しちまったな。俺なんかにはいまだに違和感があるが、この時期のイサキも脂が乗っていてうまいのも事実だから、目くじらを立てることもない気はするがな」
――私、イサキって何となく好きなんですよ。見るからにお魚って感じじゃないですか。それに小骨もなくっておいしいし。
「確かに、言われてみれば、イサキはこれぞ魚って感じだよな。刺し身もうまいし、焼いてもいいからな」
――父に聞いたんですが、師匠のお友達の船長が外房・勝浦港で一年中イサキの船を出しているそうじゃないですか。
「ああ、別にイサキ専門というわけじゃないんだが、このところもう一つのメインターゲットであるイカの状況がパッとしないので、イサキ船で出ることが圧倒的に多いのは事実だな」
――勝浦沖って一年中イサキがいるんですか。
「ああ、沿岸部に大小の根(岩礁)が点在していてそこに“根付き”になっているイサキが周年いるな。もちろん、沖から入ってくる群れもいるんだが、“根付き”のモノだけでも十分楽しめるってわけだ」
――今シーズンはサイズもいいと聞きましたが、イサキってどのくらいまで大きくなるんですか。
「もうずいぶん前の話になるが、伊豆・新島で60センチの巨大イサキを見たことがあるが、あれはいわば“巨人症”のイサキで、通常は40センチを超えれば大型だな。ただ伊豆諸島周辺の島回りでは、50センチ級がたま~に釣れることがあるようだな」
――60センチのイサキですか。すごいですね。
「俺もビックリしたよ。体形が全く違うんだ。イサキの魚体ってスマートな感じだろう。それが全くずんぐりむっくりで太ったシマアジみたいな感じだった」
――やっぱりイサキはスマートな魚体の方がいいですよね。師匠、イサキのお刺し身食べたいでしょう。
「そうだな。イサキ釣りもしばらくやっていないから行ってみるか」
――行きましょうよ。父の車なら大きいから3人で乗っても“密”にならないから、大丈夫ですよ。
「父君も行くと言っておられるのか」
――もちろん。師匠を誘ってこいって言われてきたんですよ。
「分かった。久しぶりに勝浦の船長に電話しておく」
――お願いします。