2021.1.13 05:00

【甘口辛口】強い気持ちと“支え合いの精神”で日本一に輝いた天理大ラグビー部 困難に向けての踏ん張りをプレーで体現

【甘口辛口】

強い気持ちと“支え合いの精神”で日本一に輝いた天理大ラグビー部 困難に向けての踏ん張りをプレーで体現

 ■1月13日 「過度の防御反応や警戒で互いを傷つけ合うことこそコロナ禍」。奈良県天理市の並河健市長(42)が訴えたのは昨年8月だった。天理大ラグビー部で新型コロナウイルスのクラスターが発生。一般学生まで教育実習受け入れ拒否やバイトの出勤停止に遭った。見かねた市長は自ら会見に臨み「不当な差別につながる」と力説した。

 1カ月の活動休止を余儀なくされたラグビー部は一時開催も危ぶまれた関西大学リーグ4試合を無敗で乗り切り、全国大学選手権も流通経大(78-17)、明大(41-15)を連破。11日の決勝も8トライの猛攻で早大を55-28と決勝史上最多得点で圧倒し初の日本一に輝いた。

 見るからに人間味にあふれる松岡大和主将はインタビューで「めちゃくちゃうれしいです」と声を張り上げた。背負っていたものの重さを想像させる雄たけびだった。天理はボールキャリアが止められても、そこから何とか1歩でも2歩でも前進しようとした。今季何度も直面した困難に向けての踏ん張りをプレーで体現していた。

 11日午後9時過ぎ、近鉄で天理駅に着いたチームを市長は大学関係者とともに出迎えた。「胸がいっぱい。活動休止明けで練習を再開したときは、うしろめたさを感じないように送り出した。困難に打ち勝とうという強い気持ちと、市のモットーでもある“支え合い”の精神が日本一につながったのだろう」。

 市長の呼びかけで市民の誹謗(ひぼう)中傷も消え応援へと変わった。松岡主将も無事教育実習を履修した。「優勝が市だけではなく、日本中の勇気のシンボルになれば…」と市長。36年ぶりの関西勢の日本一。コロナ禍ならではのストーリーも胸に響く。(今村忠)