【竿々学々】
――師匠、いよいよ年末ですね。コロナ禍の大変な年でしたが、来年は少しは良くなってほしいですね。
「ああ、本当に早く収まってほしいものだな。例の“GO TOキャンペーン”とやらも28日から中断するそうだから、年末年始はおとなしくしているしかないな」
――ですよね。しかし、せっかくのお正月ですからおいしいお魚くらい食べたいじゃないですか。
「ああ、確かにな。幸いマダイやマダコといった正月定番の釣り物は比較的好調だから、コロナ対策を万全にして調達に出掛けるといいんじゃね~か」
――マダイやマダコも確かに魅力的なんですが、私はヤリイカが食べたいんですよ。今シーズンのイカはずっと釣果がムラだったじゃないですか。お正月用の“イカ刺し”調達は難しいですか。
「おお、確かに今シーズンのイカは、本当にアテにならなかったからな。お前がそう思うのも無理はないが、ここにきて、相模湾でヤリイカが良型交じりで好調に釣れ出した」
――えっ、本当ですか。それは朗報じゃないですか。
「40センチオーバーの大型交じりで40~50杯の釣果も記録されているから、少なくとも年末までは大丈夫だと思うがな」
――すごいじゃないですか。40杯だ50杯だなんてぜいたくは言いません。10杯も釣れてくれれば十分ですから、行きましょうよ。師匠がイカ釣りをあまり好きじゃないのは重々承知していますが、お正月にはやっぱり“イカ刺し”がなくっちゃ。
「確かにこの時期のヤリイカの刺し身はうまいからな。釣り場も相模湾だから久しぶりに出掛けるか」
――ええ、行きましょうよ。コロナ感染拡大防止対策と防寒対策を万全にして出掛ければ大丈夫でしょう。
「おお、分かった。この時期だから水深も深いので電動リールを持って行った方がいいかもな。当然、父君も行くんだろうから、その辺のことを伝えておいてくれ」
――はい。分かりました。
「久しぶりに“イカの長井”に行ってみるか。ずいぶんとご無沙汰しているからな」
――船宿さんは師匠にお任せします。
「おお、分かった。なじみの船長に電話しておくよ」
――よろしくお願いします。