2020.11.2 05:00

【甘口辛口】米国不参加なら東京五輪は成立しないのでは…開催可否は「世界の中の日本」という視点から判断すべき

【甘口辛口】

米国不参加なら東京五輪は成立しないのでは…開催可否は「世界の中の日本」という視点から判断すべき

 ■11月2日 「第2波」に見舞われた欧州の新型コロナウイルス感染は、まさに燎原の火の如しだ。フランスは2度目の都市封鎖に入り、英国でも生活必需品以外の店舗の営業停止や外出自粛を発表した。暴れているウイルスは変異した型で、6月にスペインの片田舎の農場で発生しバカンスで訪れた観光客を介して広まったという。

 ウイルスの型は別にして米国も深刻だ。“史上最悪の泥仕合”となった大統領選で右往左往している間にも新規感染者は増え続け、先月30日には9万8000人以上と過去最多を記録した。ワシントン大の研究によると、来年2月までに現在23万人の死者が40万人に達する見込みという。

 欧米がこんな状態でも来夏の東京五輪は開催の方向だ。「感染症で十数カ国が参加できなくても数の上で五輪は成立する」と自民党の鈴木俊一前五輪相は言ったが、もし米国が「五輪より人命」と参加を見合わせたらどうなるか。莫大な放映権料を払い米国向け放映権を独占するNBCが降り、五輪は成立しないのではないか。

 産業能率大の「コロナ禍のスポーツ観戦意識調査」によると「現実問題として来年も開催は難しい」と思う人が84・8%を占めた。調査は7月末に実施したもので第2波襲来のいまなら数字はもっと増えそうだ。開催に向けた東京都、組織委員会の努力もわかるが、国民の意識とはかなりの温度差を感じる。

 すべての戦闘的行為を一時中断し平和のために集うのが五輪の理念で、人類とコロナウイルスとの“戦争”が続く中での開催なら理念に反するといえる。開催可否は「日本の五輪」ではなく、「世界の中の日本」という視点から判断すべきではないだろうか。 (今村忠)