2020.10.18 05:00

【甘口辛口】金正恩氏に見てほしいアニメ「めぐみ」 「鬼滅の刃」とセットでどうか

【甘口辛口】

金正恩氏に見てほしいアニメ「めぐみ」 「鬼滅の刃」とセットでどうか

 ■10月18日 今年になって、知り合いの大人が何人も「『鬼滅の刃』は面白い!」と興奮気味に話していた。漫画本で読もうかなと思っていた矢先、フジテレビで10日にアニメを見た途端、その魅力にハマった。中でも、主人公が巨大な人食い鬼を倒した後、鬼の抱え続けたある悲しみに寄り添うシーンにグッと来た。

 続く17日の放送分を前に、16日に公開された映画版も爆発的ヒット。例年12月に発表される今年の流行語大賞で「コロナ」に続き、「鬼滅の刃」も上位に入ると予想される。ところで、同じ16日に再び公開されたドキュメンタリーアニメ「めぐみ」(約25分)も胸に迫る作品だ。

 北朝鮮による拉致問題の実態や解決策を探るため、政府の拉致問題対策本部がYouTubeに開設した公式チャンネルで見られる。小欄は今回初めてじっくり見たが、中学1年の横田めぐみさん拉致事件を巡る本人の恐怖とともに、残された家族の憤りや訴えを活写。血も涙もない北朝鮮当局の横暴を的確に伝えている。

 せりふは日本語以外に英語、中国語、韓国語など9つの外国語の吹き替えや字幕も。アニメには世代も国境も超えて伝わる力がある。めぐみさんをはじめ拉致被害者全員の帰国が一刻も早く実現するきっかけになればと切に願う。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長にはぜひ見てほしい。

 折しも、重用する妹、金与正(キム・ヨジョン)氏の強権ぶりが増した今。主人公が鬼にされた妹を人間に戻そうと戦う「鬼滅の刃」とセットでどうか。家族を引き裂く残忍な鬼のようにはなるまいと、少しはわが身を振り返るかもしれない。人の悲しみに寄り添う度量があればの話だが。(森岡真一郎)