2020.9.24 05:00

【甘口辛口】「常に進化しようとしている」羽生九段 まだまだやれるというところを見せて

【甘口辛口】

「常に進化しようとしている」羽生九段 まだまだやれるというところを見せて

 ■9月24日 将棋の対局でどちらが上座に着くかは「暗黙のおきて」があるという。昔は段位に関係なく「先輩、どうぞ」と後輩が譲ったりしたが、いまはランキング最優先で情が入り込む余地はないらしい。永世7冠の資格を持つ羽生善治九段も無冠の現在は例外でなく、22日に開幕した王将戦決定リーグでは藤井聡太二冠に上座を譲った。

 しかし、対局では横歩取りの最新型で中盤から優位に立った羽生が80手で藤井を下した。ここまで4連敗していた藤井からの初勝利。27日が50歳の誕生日で40代最後の対局を大きな白星で飾ったのは、いかにもかつての“怪物”らしい区切りの付け方でもあった。

 先日の竜王挑戦者決定戦第3局では丸山忠久九段に勝って挑戦権を獲得した。タイトル戦は2年ぶりで目下絶好調といった感じだ。ある高段棋士はこう分析した。「衰えは隠せないが、研究を怠らず最新型の将棋を追い続けている。年を取るとミスを恐れ自分のスタイルを守り続けるものだが、羽生さんは常に進化しようとしている」。

 豊島将之竜王に挑戦する竜王戦七番勝負は10月9日に始まる。豊島は持将棋2局で異例の第9局までもつれ込んだ叡王戦でタイトル奪取したばかり。昨年末には史上4人目の竜王、名人同時保持者となったが、名人は防衛できなかった。藤井には5戦全勝の“天敵”でも名人を含め3タイトルはいずれも初防衛に失敗している。

 前人未到のタイトル通算100期に王手をかけている羽生には有利な材料でもある。竜王という最高のタイトルで100期なら、これ以上の筋書きはない。一つのタイトルに照準を絞れば、まだまだやれるということを見せてもらいたい。(今村忠)