2020.8.22 05:00

【甘口辛口】東京六大学野球に感じた「最初に俺たちがやらずして…」という気概 秋季リーグ戦へ視界良好

【甘口辛口】

東京六大学野球に感じた「最初に俺たちがやらずして…」という気概 秋季リーグ戦へ視界良好

 ■8月22日 休みの日に東京六大学野球の早大-東大を神宮球場へ見に行った。同春季リーグ戦は新型コロナウイルスの影響で大幅にずれ込み、異例の真夏に開催。通常の2戦先勝方式による勝ち点制ではなく、1946年春以来74年ぶりの1回戦総当たり制という“特別な大会”を肌で感じたかった。

 3000人を上限に一般客を入れて実施。コロナ禍に有料で観客を入れて全日程を全うしたアマチュアスポーツ大会は恐らく初めてだ。ウィズコロナへの勇気ある挑戦と捉えるとともに、戦前のスポーツの王様としてのプライドを感じた。

 明治から大正期にかけて国内スポーツの普及は進んだが、学校教育と強く結びついていたことからプロは相撲を除き発展しなかった。注目されたのは学生スポーツ。野球の早慶戦はその最たるもので一般人も大きな関心を寄せた。ところが応援合戦の過熱により06年に中止。明大、法大、立大、東大を含めた東京六大学野球の形で、ようやく25年に再開した。

 83年前に発行された吉野源三郎の小説『君たちはどう生きるか』で、主人公が早慶戦のラジオ放送を模倣するシーンがある。それほど国民に浸透していたわけで、今回の有観客試合には「最初に俺たちがやらずして誰がやる」という気概を感じた。

 六大学開催中にNHKの朝ドラ『エール』では、くしくも早大応援歌『紺碧の空』の誕生編が再放送。早大へのエールかと思ったが、優勝は法大だった。観戦した最終日の18日は降雨ノーゲームとなったカードの再試合。消化試合ともいえ観衆は1000にとどまったが、青く澄んだ空は、2回戦総当たり制で実施される秋季リーグ戦へ視界良好と言っているようだった。(鈴木学)