2020.7.1 05:00

【甘口辛口】すっかり忘れ去られている「東京アラート」 経済最優先のご都合主義としか思えない

【甘口辛口】

すっかり忘れ去られている「東京アラート」 経済最優先のご都合主義としか思えない

 ■7月1日 「いやな感じ」と新型コロナウイルスの東京都内の感染増加について、西村経済再生担当相が語った。作家高見順の代表作のタイトルで流行語にもなり若い女性はいけすかない男を「ヤな感じ」の一言であしらった。コロナにはポーカーフェースで抑えた説明をしてきた西村氏が言うと軽くはなく、不安を覚える人も多いだろう。

 東京の「夜の街」では相も変わらず感染者数が高止まりで、確かにいやな感じだ。夜の街で遊んだサラリーマンが何食わぬ顔で帰宅し、気づかぬまま家族に感染させてしまうケースも考えられる。「特別の区域」とみられがちな夜の街と家庭は実は密接な関係にあるのかもしれない。

 隣接する埼玉県は6月15日からの2週間の感染者88人のうち45人が都内で感染して疑いがあるとした。こちらは「いやな感じ」どころではなく、「大変憂慮している。都内での会食や繁華街への出かけは極力避けてほしい」と大野知事はずばりと言った。感染再拡大にも手をこまねいているだけの東京への強烈な牽制(けんせい)球だった。

 半数が“東京発”の感染だったことで埼玉では「東京由来」と言われるが、由来とは歴史的なものごとの起源、来歴のことだ。新型コロナの起源をたどれば東京ではなく、もっと遠い所だけに違和感を覚える。とはいえ東京の現状を考えると「由来」のレッテルを押し付けられても仕方ないかもしれない。

 都は感染状況や医療体制を伝えるための新たな指標を設けた。繁華街の人出は減らなかったのに10日間で解除してしまった「東京アラート」は再度の発し時とも思えるのに、すっかり忘れ去られている。経済最優先のご都合主義としか思えない。(今村忠)