2020.4.9 05:00

【甘口辛口】勝ち点制とは似て非なる短期決戦 東京六大学野球、開催できたら東大にもチャンスあり

【甘口辛口】

勝ち点制とは似て非なる短期決戦 東京六大学野球、開催できたら東大にもチャンスあり

 ■4月9日 拙宅の3軒先はある私大の野球部員、S君の実家だ。在宅勤務の息抜きに散歩していたら、S君が玄関先でバットの素振りをしていた。少年時代から声をかけていたが、大学では寮生活を送っていて、会うのは久しぶり。「部が活動停止になり寮も閉まっちゃって…。こんなことしかできないんです」と苦笑していた。

 新型コロナウイルス感染拡大で、S君の大学が所属する東京六大学野球も今春のリーグ戦は大幅な日程変更を余儀なくされている。当初の予定は4月11日開幕だったが、先日の理事会で5月30日を目標とする開催を決めた。状況次第では6月にずれ込むか、最悪中止も覚悟しているという。

 1925(大正14)年秋に始まって以来、基本にしてきた8週間、2戦先勝による勝ち点制という伝統のリーグ戦形式など望むべくもない。開催しても1試合総当たりで、一日3試合なら最短3週間で済んでしまう。戦前は「野球統制令」により1試合制が3季あり、戦後初の昭和21(46)年春も1試合制で復活した。

 このリーグ戦では、伝説のエース山崎諭が投打に大活躍した東大が開幕から4連勝。「初優勝か」と騒がれたが、最後の慶大戦に敗れた。それでも2位は東大の史上最高順位だった。力の差が出る勝ち点制とは似て非なる短期決戦。開催できたら、今季からОBで元中日投手の井手峻氏が指揮をとる東大もチャンスありだ。

 4年生になったS君にとっては就活も大きなテーマだが、企業の説明会が次々と中止になり、慣れないウェブ就活に取り組んでいる。「最悪のめぐり合わせ。でも僕らの代しか経験できないことばかりだから…」。前向きの言葉に元気をもらって、いい散歩になった。(今村忠)