2020.3.23 05:00

【甘口辛口】五輪延期論広まる中、聖火見切り発車に不安…途中打ち切りなら「無謀、無責任」のそしり免れない

【甘口辛口】

五輪延期論広まる中、聖火見切り発車に不安…途中打ち切りなら「無謀、無責任」のそしり免れない

「復興の火」の岩手県巡回で、三陸鉄道リアス線の列車で運ばれる東京五輪の聖火。奥は両石漁港=22日午前、岩手県釜石市

「復興の火」の岩手県巡回で、三陸鉄道リアス線の列車で運ばれる東京五輪の聖火。奥は両石漁港=22日午前、岩手県釜石市【拡大】

 ■3月23日 聖火が日本にやってきた。26日には福島県のJヴィレッジを出発し国内リレーが始まるが、本当にスタートしていいのだろうか。米国の有力紙ワシントン・ポストは「全世界がパンデミックと闘う中、五輪と日本の関係者が東京五輪を開催できるかのように行動していることは完全にばかげている。全くの無責任」との厳しい論説を発表した。

 新型コロナウイルスの感染拡大でノルウェー、ブラジル、スペインなどのオリンピック委員会も東京五輪の延期を主張。世界的に影響力を持つ米国の水泳、陸上競技両連盟も書簡などで相次いで延期を要請した。花形の両競技から上がった声は延期の決定打かもしれない。

 燎原の火のごとく世界中に広まる延期論。そんな中で「さあ出発」と聖火が“見切り発車”したら、「日本は五輪のことしか考えていないのか」と世界中が思うかもしれない。途中で延期が決まり聖火リレーが打ち切りになったら、それこそ「無謀、無責任」のそしりは免れないだろう。

 延期なら聖火は消すわけにもいかず、種火にしてどこかに厳重保管するしかない。もちろん、コロナが一気に終息し予定通り開幕という大逆転の展開もなくはない。それを望むなら聖火リレーは当分見合わせてもいい。「日本も一緒にコロナと闘っている」という世界へのメッセージになり日本観も変わるだろう。

 イタリアでは死者が4000人を突破した。同国オリンピック委員会のペトルッチ元会長は「(放映権料の)10億ドルの契約も知っているが、人間の命はもっと価値がある」と訴えた。桜と聖火。日本人にとって待ちかねていたものが一度にきたが、世界中の苦しみを思えば隠忍自重しかない。(今村忠)