2020.3.19 05:00

【甘口辛口】東京五輪「完全な形」とは延期しかない 我が道を行くIOCが浮世離れした存在のようにも思える

【甘口辛口】

東京五輪「完全な形」とは延期しかない 我が道を行くIOCが浮世離れした存在のようにも思える

 ■3月19日 延期や中止が取り沙汰されている東京五輪について、国際オリンピック委員会(IOC)が予定通り実施する方針を発表した。電話形式の臨時理事会を開いて確認したもので「大会の4カ月以上前のこの段階で抜本的な決定を行う必要はない」としている。とはいえ、とうてい額面通りに受け止められる状況ではない。

 新型コロナウイルス感染拡大で欧州では地続きの国々が国境を封鎖。米国ではトランプ大統領が国内の感染が頭打ちになるのが7~8月までずれ込む恐れがある、と説明した。ゴーストタウンと化した主要都市の暗然とした光景を見た後では、ひたすらわが道を行くIOCが浮世離れした存在のようにも思える。

 「開催は人道的観点から無神経で無責任な行為。この危機は五輪より深刻だ」と身内のIOC委員、ヘーリー・ウィッケンハイザー氏(カナダ)も批判している。英国の陸上中距離選手、ガイ・リアモンスは「開催は10月以降、21年か22年でもいい。練習時間とウイルスが沈静化する時間を担保できる」と英紙に語った。

 多くの選手にすればこれが偽らざる心境だろう。IOCは予定通りでも「東京には行きたくない」という選手は多いはず。逆に、この五輪がパリやローマだったら日本の選手はためらいなく行く気になるだろうか。五輪憲章で「選手の健康を守る」のが使命とされるIOCが選手の立場に立って考えているとは思えない。

 「人類が新型ウイルスに打ち勝つ証しとして完全な形で実施する」とG7の緊急電話会議で一致した。完全な形とは延期しかない。政治や金の都合に翻弄され、選手はたまったものではない。延期が可能なら1日でも早く決めてもらいたい。 (今村忠)