2020.3.18 05:00

【甘口辛口】コロナより薬物汚染を「非常事態」としたラグビー協会 大国への礎は築いたが選手ファーストとは思えない

【甘口辛口】

コロナより薬物汚染を「非常事態」としたラグビー協会 大国への礎は築いたが選手ファーストとは思えない

 ■3月18日 ラグビーの選手会が声明を出した。「違法行為には毅然(きぜん)とした対応を取るべきだが、無関係な選手については通常通りプレー機会が与えられるべきだ」。昨年のトヨタ自動車に続き、トップリーグ(TL)日野の選手が4日に薬物事件で逮捕され、日本協会が再発防止のため3月中のTLを休止したことに対してだ。

 コロナ禍であらゆるスポーツが中止や延期、無観客を余儀なくされる中、ラグビーも欧州6カ国対抗の延期や日本のサンウルブズにとって最後の参戦となる南半球スーパーラグビーも中断された。TLの休止もコロナ拡大によるもの、と思い込んでいた人も多かったのではないか。

 TLだけでなく1月には日大の部員が大麻所持で逮捕されたこともあり、協会はコロナより薬物汚染を「日本ラグビーの非常事態」としてとらえた。選手のコンプライアンス教育の徹底のため3週間の休止を決めたという。この深刻な状況下、コロナと切り離しているところが何とも的外れな印象だ。

 「コロナがない、ふつうのシーズンでも同じ判断をするのか」などと選手が疑問に思って当然だ。清宮副会長が掲げるプロ化構想がトーンダウンしプロとアマの真ん中にいるのが日本のラグビー。プロなら選手の解雇で済ませるが、競技の特性か全体で痛みを分かち合う、昔ながらの連帯責任という考え方がまだ根強いと感じた。

 日本のラグビーは昨年W杯で沸いた。組織委員会によるとチケット収入などで約60億円の実質黒字という。ラグビー大国への礎は築いたが、選手ファーストとは思えない。コロナの現状も踏まえ、再開に向け選手会が望む薬物検査の実施など徹底的に話し合ってもらいたい。(今村忠)