2020.3.16 05:00

【甘口辛口】五輪の「政治利用」は世界のひんしゅくを買うだけ 総理大臣といえども口を挟むべきではない

【甘口辛口】

五輪の「政治利用」は世界のひんしゅくを買うだけ 総理大臣といえども口を挟むべきではない

 ■3月16日 「延期」や「中止」の流れが一気に加速した東京五輪に関して、安倍晋三首相は14日の記者会見で「予定通り開催したい」と語った。1年延期に言及したトランプ米大統領との電話会談では「延期や中止は一切話題になっていない」としたうえで、「成功に向けて日米で緊密に連携していくことで一致した」という。

 五輪憲章では人種、宗教、政治的またはその他の意見には左右されないとオリンピズムの根本原則をうたっている。総理大臣といえども本来なら政治が五輪に口を挟むべきではない。後手後手のコロナ対策で批判を浴び五輪で大逆転を狙うのはわかるが、発言が「政治利用」と受け取られても仕方ない。

 全土で不要不急の外出が禁止となったイタリアや「国民の6~7割が感染の可能性も」とメルケル首相が語ったドイツなど、いまやパンデミックの主戦場は欧州に移った。五輪どころではない欧州にすれば、安倍首相の発言を聞いて「五輪は日本と米国だけで決めるのか」と不快に思うのではないか。

 最終的に開催の可否を判断するのは国際オリンピック委員会(IOC)で、バッハ会長が「政治的意見は聞かない」とクギを刺してもいいはずだ。しかし、世界保健機関(WHO)の専門家と連絡をとっているというIOCも延期、中止は「WHOの助言に従う」と責任逃れのようなことを言い出している。

 延期となると1年後は陸上、競泳の世界選手権と重なり、2年後なら冬季五輪やサッカーW杯が控えており課題が多すぎる。そんな抜き差しならない状況でも、国民の方が冷静に推移を見守っている感じだ。ご法度の「政治利用」は世界からひんしゅくを買うだけだろう。 (今村忠)