2020.3.7 05:00

【甘口辛口】無観客競馬で異界に迷い込んだような錯覚に…全てのスポーツに一日も早くファンの歓声が戻ることを願う

【甘口辛口】

無観客競馬で異界に迷い込んだような錯覚に…全てのスポーツに一日も早くファンの歓声が戻ることを願う

 ■3月7日 春の到来を感じさせる陽気となった1日、中山競馬場でJRA初の無観客レースを体験した。競馬を独り占めする優越感に浸れると思ったが、寂しさが心を占めた。ウグイスの鳴き声が聞こえてきそうな静寂の中、ゲートが開いて各馬がスタート。異界に迷い込んだような錯覚に陥り、歓声はスポーツにとって欠かせないと痛感した。

 コブシも開花。かつて産経新聞の名物コラム「産経抄」で、石井英夫さんが「この花は、長く暗い冬のトンネルをぬけた先に、ぽっと白く咲き出てくれるから値打ちがあった」とつづったが、日本は新型コロナウイルス禍により長く暗い冬のトンネルを抜け出せないでいる。その表出のひとつが無観客で実施されているスポーツだ。

 鳴り物入りや応援歌がいいとは個人的には思わないが、大観衆がアスリートの一挙手一投足を見守り、応援する競技者が勝てば喜び、負ければ落胆し、拍手や歓声で勝者をたたえ、敗者には声援を送り励ます。それがあるからスポーツは大きな感動を生む。

 東京競馬場に歴代最多19万6517人を集めた1990年の日本ダービー。一ファンとして現地で観戦した小欄は、勝った中野栄治騎手をたたえるナカノコールに感動した。同年暮れの有馬記念では、中山競馬場に同場史上最多17万7779人が訪れた。このレースで引退するオグリキャップを応援しに行った小欄もその一人。奇跡の復活勝利を果たし沸き起こったオグリコールに心が震えた。

 応援するファンがいてこそ完成される。競馬だけではない。大相撲も野球もサッカーもしかり。それがスポーツなのだ。全てのスポーツに、一日でも早くファンの歓声が戻ることを切に願う。 (鈴木学)