2020.3.2 05:00

【甘口辛口】「観戦自粛」要請も多くの人集まった東京マラソン 連想ゲームの行く先はコロナ、首相対策も不安は募るばかり

【甘口辛口】

「観戦自粛」要請も多くの人集まった東京マラソン 連想ゲームの行く先はコロナ、首相対策も不安は募るばかり

 ■3月2日 つかの間だったが、世の中を覆う重苦しい空気が吹き飛んだようだった。東京五輪男子代表選考レースを兼ねた東京マラソン。いつもクールな大迫傑(ナイキ)が自らの持つ日本記録を更新し日本人トップのフィニッシュに全身で喜びを表し、インタビューでは涙で声を詰まらせた。「これが五輪への道」と感じ入ったシーンだった。

 例年なら沿道に約100万人もの観衆が集まるレース。新型コロナウイルス対策で日本陸連が公式サイトを通じて「観戦自粛」を呼びかけた。それでも浅草や東京駅前のゴール付近は「大丈夫?」と心配になるほど多くの人が集まり、改めて日本人のマラソン好きが伝わってきた。

 この夏、このコースで五輪のマラソンがあればどうだったろう。早朝も暑さもいとわず沿道は人で埋め尽くされたのではないか。しかし、マラソンは競歩とともに札幌に移った。その札幌は北海道の緊急事態宣言で週末の外出自粛が呼びかけられ、道内最大の歓楽街ススキノも火の消えたような寂しさだったという。

 “連想ゲーム”の行く先はどうしてもコロナウイルス。マラソンが終わったとたんに厳しい現実に引き戻された。根回しのないまま一斉休校を決めた安倍首相は初めての国民向け会見で保護者への休職支援を表明したが、具体策には触れられなかった。会見で全部引き出しを開けてみせても中は空っぽとの声も。不安は募るばかりだ。

 五輪へ向け各競技で次々に代表が決まっている。とはいえ日本が頑張ってコロナを押さえ込んでも、世界のどこかで感染が続いている限り五輪は中止になっても致し方ない。いろんなことを考えさせられた2時間余のマラソン中継でもあった。 (今村忠)