2020.2.21 05:00

【甘口辛口】キネ旬ベストテン1位「火口のふたり」の森重晃プロデューサー 人脈広い独立系製作者、原点となった学映時代

【甘口辛口】

キネ旬ベストテン1位「火口のふたり」の森重晃プロデューサー 人脈広い独立系製作者、原点となった学映時代

映画「火口のふたり」、左から荒井晴彦監督、柄本佑、瀧内公美

映画「火口のふたり」、左から荒井晴彦監督、柄本佑、瀧内公美【拡大】

 ■2月21日 御堂筋から道頓堀を東に入り、すぐ右手に大阪松竹座がある。歌舞伎や演劇などでにぎわうミナミの人気スポットだが、1994年までは映画の封切館。かつて、その3階奥に“事務所”を間借りしていたのが「大阪学生映画友の会」、通称「学映」だ。

 関西の大学・高校の映画研究会を中心に戦後間もない47年に発足し、中之島中央公会堂などで自主上映を行った。時代の流れで78年に解散するのだが、最後から2代目の会長だったのが映画プロデューサーの森重晃さん。その森重さんが製作した「火口のふたり」が、今月発表された「キネマ旬報ベストテン」第1位に輝いた。

 「“記念品”はうれしいですよ。今回は主演女優賞ももらえたのが何よりもうれしい」と、森重さんは瀧内公美の受賞を喜ぶ。飄々とした人柄、人脈の広い独立系製作者で、井筒和幸監督初期の79年の「足の裏から冥王まで」でキャリアをスタートさせ「稲村ジェーン」「ヴァイブレータ」「さよなら渓谷」「この国の空」など多彩な映画を送り出した。

 今回の「火口-」は荒井晴彦監督と組み、準備に約7年をかけた。登場人物は男女2人だけで撮影は15日間。絡みの多さが話題だが「彼女が彼を好きだったという一点のシンプルな話。そこに火口、富士山で想像する部分もある。昔ならATGでやってたような」という。

 そんな森重さんが振り返る学映時代。一般映画の上映だけでなく、アマチュア8ミリ映画会も企画して映画の世界に飛び込んだ。「上映から始めていいんじゃないですか。単なる映画ファンが作る方に行って40年以上たった感じですよ」。それが原点。ちなみに78年の学映最後の上映は「ベニスに死す」だった。 (宮本圭一郎)