2020.2.20 05:00

【甘口辛口】静かに遠ざかっていく「羽生時代」…AI信奉派とハイブリッド派のはざまで人間力将棋の巻き返しが見たい

【甘口辛口】

静かに遠ざかっていく「羽生時代」…AI信奉派とハイブリッド派のはざまで人間力将棋の巻き返しが見たい

対局を終え、感想戦に臨む藤井聡太七段(右)と羽生善治九段=18日午後、東京都渋谷区(松井英幸撮影)

対局を終え、感想戦に臨む藤井聡太七段(右)と羽生善治九段=18日午後、東京都渋谷区(松井英幸撮影)【拡大】

 ■2月20日 「羽生時代」が静かに遠ざかっていく感じだ。将棋の王位戦挑戦者決定リーグ白組1回戦で、タイトル初挑戦を目指している藤井聡太七段(17)が113手で羽生善治九段(49)に勝った。ファン注目のスター対決。一昨年2月の朝日杯準決勝、昨年10月の王将戦挑戦者決定リーグ戦に続き藤井が無敗の3連勝となった。

 一昨年12月、羽生は唯一保持していたタイトルの竜王戦で挑戦者の広瀬章人八段に敗れ27年ぶりに無冠となった。初タイトルは1989年の竜王戦で獲得タイトルは通算99期。あと「1」と迫った通算100期が残された大目標だが、日暮れて道遠しといったところだ。

 先日、朝日杯の準決勝で藤井に勝ち、勢いに乗って優勝した千田翔太七段(25)は“AI時代の申し子”とか。勉強にはならないと人が指した棋譜は一切見ず、ひたすらコンピューターだけで将棋を研究している。棋王戦に挑戦中の新鋭、本田奎五段(22)は「目標の棋士はいない。理想はコンピューター」と公言して憚らない。

 「人は信じない」とでもいうのか、棋士同士の研究で棋力を磨いた羽生から見ればまさに「新人類」の台頭だろう。あるベテラン棋士はいう。「AIと違い人間ならときに悪手を指すが、必死に取り返し逆転につなげるのが魅力たっぷりの“羽生マジック”。衰えは隠せないが、AIにも取り組みはじめこのまま朽ち果てるとは思えない」。

 初タイトル獲得へ好スタートを切った藤井は、AIと人との研究という2つの要素が組み合わされたハイブリッド型といわれる。「棋を見て人を見ず」のAI信奉派とハイブリッド派のはざまで、羽生の人間力将棋の巻き返しが見たいものだ。 (今村忠)