2020.2.15 05:00

【甘口辛口】野村克也さんの野球以外にも通じる金言 働き方改革を30年ほど前から実践していたことに驚き

【甘口辛口】

野村克也さんの野球以外にも通じる金言 働き方改革を30年ほど前から実践していたことに驚き

 ■2月15日 小欄にはスポーツ界にふたりの先生がいると勝手に思っている。一人は競馬の野平祐二さんで、一人は野球の野村克也さん。晩年の野平さんには番記者として競馬の神髄を学んだ。野村さんには1992年シーズンを産経新聞のヤクルト担当として密着。著書の「野球は頭でするもんだ!」を地で行く話をよく聞いた。

 「負けに不思議の負けなし」。野村さんの持論では「なぜ」には必ず理由がある。間違った結果が出たのは、選択した行動が理にかなっていなかったから。だから、選手には「理をもって戦いなさい」と説いた。「戦いは創造と修正の繰り返し」とも。「結果」につながる「修正」をいかに迅速に行えるかが勝敗の鍵を握る。グラウンドでは「正しくない努力」を排除。練習は「より効率的、効果的に」がモットーだった。

 野球以外にも通じる金言が多い。働き方改革を30年ほど前から実践していたことに驚く。だからこそ著書は組織論や人生論としても読み続けられるのだろう。

 93年のユマ・キャンプ取材後に競馬担当になると告げる際、「今年は日本一になると思います」と伝えた。根拠もなしに何を-という顔を一瞬したが、去る者への優しさか笑顔でうなずいてくれたのは忘れられない。

 西武との92年日本シリーズ。「日本一になったらオフの間ずっと、優勝検証記事を連載する」と上司に無茶ぶりされ、心の底から勝利を願う気になれなくなった。チームは第7戦で敗退。表彰式に臨む監督が悔しさでこぶしを固く握りしめているのを見て、自分の小心さを恥じた。生前にざんげできなかったのが悔やまれる。告白していたら、どんな顔で、どんな言葉をかけてくれたのだろうか。(鈴木学)