2020.2.14 05:00

【甘口辛口】103歳で大往生した不屈の男、カーク・ダグラス氏 権力に立ち向かい、忖度もしない

【甘口辛口】

103歳で大往生した不屈の男、カーク・ダグラス氏 権力に立ち向かい、忖度もしない

 ■2月14日 2016年公開の「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」は、戦後のアメリカでの国を挙げた共産主義者排斥、いわゆる「赤狩り」で追放された名脚本家を描いている。この映画の後半、重要な役割で登場するのが若き日の「カーク・ダグラス」だ。

 表立った仕事をなくし、偽名で「ローマの休日」からB級映画まで脚本を書いていたトランボの能力を見込んだ。自ら製作と主演する1960年の「スパルタカス」の執筆と手直しを依頼。「これは1人の男が全世界を相手に戦う物語だ」と説得する。もちろんトランボだけでなくダグラスも戦った。

 有名な話ではあるが、ハリウッドの有力圧力団体はおろか、政府まで敵に回して一歩も引かない。当時あり得ないとされたトランボの実名を、完成した映画のクレジットに載せた。結局、鑑賞したケネディ大統領が「いい映画だね」とホメて大勢は決する。

 そんな硬骨漢のダグラスさんが5日、亡くなった。103歳の大往生だった。「トランボ」での描かれ方は気に入っていたようで、演じた役者にアドバイスまでしたという。全盛期の映画、49年の「チャンピオン」や51年の「探偵物語」は佳作だった。3度ノミネートされたアカデミー演技賞は獲得できなかったが、96年には名誉賞を授与され、晩年は授賞式に招かれて元気な姿を見せていた。

 作品賞など主要4冠の「パラサイト 半地下の家族」が席巻した現地時間9日の今年の授賞式。韓国、外国語、字幕の壁が壊されたように、昔からタブーは乗り越えられていく。授賞式の追悼コーナーのラストを締めくくったダグラスさん。権力に立ち向かい、忖度もしない不屈の男を誰も忘れない。(宮本圭一郎)