2019.12.9 05:00

【甘口辛口】ボクシング界の名門、協栄ジムが突然の休会 昭和がまた遠くなる

【甘口辛口】

ボクシング界の名門、協栄ジムが突然の休会 昭和がまた遠くなる

協栄ジム・金平会長

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 ■12月9日 “カミソリパンチ”で一世を風靡した海老原博幸。日本人で初めて海外で王座を奪取した“シンデレラボーイ”西城正三。歴代最多の王座防衛13回を誇る具志堅用高…。プロボクシングの協栄ジムから生まれた世界王者たちはそれぞれが濃密な人生ドラマの主役でもあり、ボクシング黄金時代に絶大なファンの支持を受けた。

 13人の世界王者を輩出し、いまも元世界2階級王者の亀田和毅ら10人以上のプロ選手が在籍している名門。ボクシング界の“最大勢力”と思われていた協栄の突然の休会にはびっくりした。金平桂一郎会長が9日にも東日本協会に休会届を提出し、選手たちは移籍先を見つけるなどの対応が必要になる。

 金平会長と、実質的なオーナーとの金銭面を含めた確執が背景にあり、ジムの運営にも方向性の違いが生じたようだ。強いボクサーを育て興行で収入を図った会長に対し実質的オーナーは、ダイエットなどを目的としたボクササイズなどフィットネス系のスポーツジムとして存続させるという。

 昭和34(1959)年、トンカツ店の主人だった先代の金平正紀会長は“出前アルバイト募集”の貼り紙で応募した少年海老原の素質を見抜き、すぐに店を畳んでジムを開いた。練習生は海老原一人の“大ばくち”だった。「ジム創設から60年の節目の年に、このような結果になり残念。責任を感じる」と桂一郎会長。

 ある中堅ジムの会長は「ボクササイズなどはどのスポーツジムでも簡単にできる時代。一方でボクシングを志す若者が減少し体罰だ、パワハラだと厳しい指導もできない。ジム経営は苦しくなる一方」と嘆く。これも時代の流れ…。昭和がまた遠くなる。(今村忠)