2019.12.8 05:00

【甘口辛口】ともに支援続けた河島英五さんと中村哲医師に“接点” 天国で自分たちの遺志の継承願っているに違いない

【甘口辛口】

ともに支援続けた河島英五さんと中村哲医師に“接点” 天国で自分たちの遺志の継承願っているに違いない

 ■12月8日 忘年会シーズンに中高年男性が歌うカラオケ定番曲の一つに、歌手、河島英五さん(2001年死去、享年48)のデビュー曲「酒と泪と男と女」がある。この歌は河島さんが高校3年のとき、父親の後ろ姿を見て作詞した。当時、父親の経営するプラスチック工場は倒産したばかりだったという。

 そのせいか、男のあきらめや哀愁が漂う中にも前向きな力強さがあり、聴くたび歌うたびに励まされる。この歌がヒットした1977年、新婚の河島さんは身重の妻を残し、突き動かされるように外国へ旅に出た。25歳のときだった。行く先は当時から政情不安のアフガニスタン。未知との遭遇を歌作りに生かす原点の始まりだった。

 「砂漠の真珠」と言われ訪れる人を魅了してやまないバンディ・アミール湖の美しさに感銘を受け、帰国後に誕生したタレントの長女に亜美瑠(あみる、42)と命名した。しかし、国境警備隊に自動小銃を突きつけられ身柄拘束された話は、後にライブでもたびたび披露するほど強烈な体験だった。

 それから三十数年以上。アフガンの貧困層への医療など人道支援を続けてきた中村哲医師が4日、現地で何者かの凶弾に倒れ、73歳の生涯を閉じた。生前、河島さんとの接点はなかったが、縁あって中村さんは2008年に阪神大震災の被災地支援を続けた河島さんの遺志を継ぐ「河島英五記念基金」の贈呈を受けている。

 河島さんの長男で奈良のカフェを営む歌手、河島翔馬(37)は小欄の取材に「信じる道を突き進み、困っている人を助けずにはいられない性分は同じだと思います」としみじみ。お二人は今頃、天国で自分たちの遺志の継承を願っているに違いない。合掌。 (森岡真一郎)