2019.12.5 05:00

【甘口辛口】「量刑検索システム」で形骸化しかねない裁判員裁判 死刑存在する以上、毅然として順守してもらいたい

【甘口辛口】

「量刑検索システム」で形骸化しかねない裁判員裁判 死刑存在する以上、毅然として順守してもらいたい

 ■12月5日 裁判員裁判の裁判員として以前、お呼びがかかった友人がいる。どんな事件で量刑はどうだったかは話し好きなのに守秘義務を守って口にしない。「分厚い封筒の知らせがきたとき、本当に来るんだと腰を抜かしそうになった。あ~ぁ、これで宝くじは一生当たらないなとも思ったよ」と、話してもせいぜいここまでだった。

 ところがこの友人、よほど腹が立ったのか「これじゃ裁判員裁判の意味がないよ」と電話で憤っていた。平成24年6月、大阪・心斎橋の路上で通行人の男女2人を無差別に刺殺したとして殺人罪に問われた被告の上告審判決で、最高裁は1審裁判員裁判の判決を破棄し無期懲役とした2審大阪高裁の判断を支持した。

 裁判員裁判による死刑判決が2審で破棄された5件全てが無期懲役で確定するという。最高裁は「2人の命が奪われた結果は極めて重大」としながら死刑の適用にはなんだかんだ理由をつけた。仕事をやりくりし自分の時間を犠牲にして何度も裁判所に通い、断腸の思いで死刑を選択した裁判員としては到底納得できないだろう。

 裁判員裁判の評議には「量刑検索システム」が採用され、似たような事件の量刑を瞬時に調べることができるという。被害者数や計画性の有無などが勘案されいわゆる「量刑相場」が出るらしいが、それなら何も裁判員に骨を折らせるまでもなくプロの裁判官で決めればいい。

 国民の常識を刑事裁判に反映させるのが裁判員制度の趣旨のはずだが、これでは制度が形骸化してしまう。死刑判決をそれほどためらうなら、いっそ死刑を廃止し終身刑にしたらどうか。しかし、死刑が存在する以上は毅然として順守してもらいたいものだ。 (今村忠)