2019.12.2 05:00

【甘口辛口】年間維持費24億円の新国立競技場 関係省庁はワンチームとなって活用するアイデアを練っては

【甘口辛口】

年間維持費24億円の新国立競技場 関係省庁はワンチームとなって活用するアイデアを練っては

完成した新国立競技場。2020年東京五輪・パラリンピックのメインスタジアムとなる

完成した新国立競技場。2020年東京五輪・パラリンピックのメインスタジアムとなる【拡大】

 ■12月2日 新国立競技場が完成した。木と緑にあふれた「杜のスタジアム」は明治神宮外苑の景観にマッチし、新たな日本スポーツ界の聖地にふさわしいたたずまいだ。高さは47メートルに抑え建築面積は旧国立競技場の2倍超。47都道府県から調達した木材が、風を効率よく取り込むため日本の伝統建築技法「軒びさし」などに用いられた。

 思えば、デザインコンペで一度は採用された英国人女性建築家ザハ氏の流線形スタジアムがそのまま作られていたらどうだったか。難しいキールアーチ構造で建設費が膨張し白紙撤回されたが、「生牡蠣がドロンと垂れたみたい」との酷評も聞かれ外苑の景観とは間違いなくミスマッチだったろう。

 曲折があったが、国際オリンピック委員会(IOC)が求めた来年1月までの期限を守り、余裕をもって完成させたことは評価できる。ただ年間約24億円という維持管理費を思うと、めでたさも中くらいかもしれない。民営化を目指す方針だが、旧国立の年間収入は多い年で約9億円といわれた。果たしてそろばんが合うのか。

 2008年北京五輪のメインスタジアムは「鳥の巣」と呼ばれ、奇抜なデザインは建築物の傑作として話題になった。先頃、北京を訪れた知人は観光コースに組み込まれている「鳥の巣」を見学し、五輪の様子をまじえて説明するガイドの名調子もあって有意義な一時を過ごしたという。

 「杜スタ」も大会後は日本の奥深い「木の文化」を象徴する観光スポットとして活用する手はありそうだ。見学料やグッズ販売など多少なりとも維持費の足しになる。スポーツ庁や文化庁、観光庁などがワンチームとなって、いまからアイデアを練ってはいかがだろう。 (今村忠)