2019.12.1 05:00

【甘口辛口】立ちションベン理由に国民栄誉賞辞退した福本豊氏 獲得トロフィーはほとんど人の手に…規格外のスケール、中曽根元首相も天国で笑っているのでは

【甘口辛口】

立ちションベン理由に国民栄誉賞辞退した福本豊氏 獲得トロフィーはほとんど人の手に…規格外のスケール、中曽根元首相も天国で笑っているのでは

 ■12月1日 記憶に残る総理大臣といえば佐藤栄作か、中曽根康弘か。そんな時代に育った者としては、巨星落つ-の思いは強い。もちろん会ったこともないし、スポーツしか取材したことのない一記者には遠い存在。そう思いながら、当日の取材に忙殺されていたら、意外にも目の前の人物が深い縁で結ばれていた。

 福本豊さん。言わずと知れた世界の盗塁王は1983年、ルー・ブロックの通算盗塁記録を抜く939盗塁を達成し、国民栄誉賞の表彰対象になった。ところが、まさかの辞退。理由は「そんなもんもらったら、立ちションベンできなくなる」。想像を絶する展開に世間は絶句した。

 時の首相が中曽根さんだった。「俺も会ったことはないんや。あの時、候補にしていただいて、本当にありがとうございました、やな」。テレビ収録の合間の立ち話。訃報に触れた“辞退者”は手を合わせた。「でも、後悔はないよ。自信もなかったし。毎日“気をつけ”しながら歩くのなんて嫌やろ」。自然体は変わらない。

 ほんの1カ月前にも、福本さんと受賞歴の話をした。MVP、ベストナイン、盗塁王…。数え切れない賞状、トロフィーを手にしているのだが、ほとんど自宅にない。「もらいすぎて、置き場所がなくなって。知り合いにあげたりして。結構、喜んでもらえてる」

 実は福本さんの盗塁王のトロフィーを持っている知人がいて、居間に大事に飾っている。「そういう人に持っててもらうほうがええやん」。もし、国民栄誉賞を受賞しても、他人の手に賞状が渡っていたかも?! これが超一流のプロ野球選手の規格外のスケール。断られた中曽根さんも天国で笑ってくれているのでは。 (上田雅昭)