【竿々学々】
――師匠、今年は『松島のハゼ、松島のハゼ!!』って騒がないですね。ダメなんですか。
「う~ん、全く釣れていないわけではないんだが、地元のベテランたちでも20~30匹って感じの釣果が続いている」
――それでは、ちょっと辛いですね。型はどうなんですか。
「その点は、やはり松島!って感じだな。すでに23、24センチの大型も姿を見せているからな」
――父に聞いたんですが、今年は“江戸前”のハゼもパッとしないそうですね。
「ああ、その通りだ。木更津方面と江戸川放水路では、まずまず釣れているんだが、大川(隅田川)水系は、11月に入ってからは型を見るのも難しくなってきちまった」
――それって、台風の影響なんですか。
「ああ、間違いないな。台風15号でかなりのダメージを受けたところに19号が追い打ちをかけたからな。前半は絶好調だった木更津方面も明らかに19号通過後は、釣果がガタ落ちになったからな」
――もしかすると、松島のハゼも台風の影響なんじゃないですか。
「何とも言えんが、東北地方も半端な雨量じゃなかったからな。少なからず影響を受けているとは思うな」
――それでも数は少ないとはいえ、この時期に23、24センチってすごくないですか。
「ああ、確かにな。江戸前も木更津方面も12月になってもそのサイズはめったに釣れないからな」
――松島といえば“日本三景”の一つじゃないですか。数は少なくてもそんな大きなハゼが釣れるんなら行きませんか。絶景の中のハゼ釣り、やってみたいです。
「そう言えばお前はまだ行ったことがなかったっけ」
――そうですよ。いつも何かタイミングが悪くて置いて行かれてばかりでしたから。
「たまには温泉に浸かりながらののんびり釣行もいいかもしれんな。大型ハゼを10匹も釣れば、ハゼの刺し身も食えるし、行ってみるか。父君に都合を聞いておいてくれないか」
――はい。分かりました。父も絶対行きたいと言いますよ。
「分かった。知り合いの船長に電話して状況を聞いておくよ」
――よろしくお願いします。
「ああ、分かった」