2019.11.13 05:00

【甘口辛口】元院長書類送検まで7カ月、絵に描いたような不公平さの池袋暴走事故 検察は厳罰求める民の声に耳傾けて

【甘口辛口】

元院長書類送検まで7カ月、絵に描いたような不公平さの池袋暴走事故 検察は厳罰求める民の声に耳傾けて

東京・池袋の交通事故が起きた現場=4月

東京・池袋の交通事故が起きた現場=4月【拡大】

 ■11月13日 東京の八王子市で国道16号の横断歩道を渡っていた保育園児の列に軽貨物車が突っ込んだ。「またか」と心が痛む。2歳の園児4人と女性保育士2人が病院に搬送され、幸い園児はいずれも軽傷だった。運転していた60代の男は「足元に落ちた書類に気をとられていた」といい、自動車運転処罰法違反容疑で現行犯逮捕された。

 死亡者は出ず脇見運転による前方不注意という事故原因を素直に認めても逮捕だった。一方、東京・池袋で母子が死亡した事故で運転していた旧通産省工業技術院の飯塚幸三元院長(88)については、警視庁交通捜査課が事故から7カ月もたった12日に同法違反容疑で書類送検した。

 まさに絵に描いたような不公平さだ。元院長は当初「ブレーキがきかなかった」「アクセルが戻らなかった」と車のせいにするなど「悪質」だった。60代男性はけがで入院したため釈放され任意捜査が続くという。元院長も逮捕された後けがで釈放ならわかるが、一度も逮捕されることなくふつうに生活していた。

 高齢で、逮捕要件にあたる「逃亡」や「証拠隠滅」の恐れがないと判断したのか。60代男性にはその恐れがあったのか。先日、あるテレビの取材に応じた元院長の言葉には「特別扱い」を盾にしたような傲慢さがあった。「安全な車を開発するようメーカーの方に心がけていただき、高齢者が安心して運転できる世の中にしてほしい」

 あとは検察が起訴するかどうかだ。書類送検まで7カ月かけたところをみると、世間が忘れるまで時間をかけるのではと思われても仕方ないが、母子の遺族が集めた厳罰を求める39万筆もの署名は民の声でもある。ぜひ耳を傾けてもらいたい。 (今村忠)