2019.11.7 05:00

【甘口辛口】五輪マラソン騒動で顔見えなかったJOC 「いだてん」主人公いれば黙っていなかったろう

【甘口辛口】

五輪マラソン騒動で顔見えなかったJOC 「いだてん」主人公いれば黙っていなかったろう

東京五輪マラソン・競歩開催地変更決定を受けて日本陸連が実施した強化委員会の会見に登壇した(左から)瀬古利彦氏、麻場一徳氏、河野匡氏=東京都新宿区(撮影・萩原悠久人)

東京五輪マラソン・競歩開催地変更決定を受けて日本陸連が実施した強化委員会の会見に登壇した(左から)瀬古利彦氏、麻場一徳氏、河野匡氏=東京都新宿区(撮影・萩原悠久人)【拡大】

 ■11月7日 「この時期に極めて遺憾」「あってはならない決定だ」。東京五輪のマラソン・競歩が札幌に移転したことを受け日本陸連の強化委員会が5日に会見を開いた。決定から4日過ぎ何を言っても愚痴にしか聞こえない。札幌へ気持ちを切り替え前向きな発言もあったが、異論があるならなぜもっと早く声を上げなかったのか。

 先月末の国際オリンピック委員会(IOC)調整委員会の前に、河野匡長距離マラソンディレクターが指導者や選手から意見を集め提出しながら陸連内部の認識の相違でIOCには届けなかった。それで覆せるものではないが、少なくとも現場の声をIOCに知らせる必要はあった。

 蚊帳の外に置かれた東京都の小池知事が「合意なき決定」と最後は折れた今回の騒動。競技運営を担う陸連もそうだが、もっと顔が見えなかったのが日本オリンピック委員会(JOC)だった。東京都だ、組織委員会だといってもIOCに直接“はしご”を架けられるのはJOCだけで、本来なら仲介役を務める立場ではないか。

 放送中のNHK大河ドラマ「いだてん」の主人公は田畑政治。JOC総務主事で1964年東京五輪の組織委事務総長だったが、自ら招致に奔走した五輪にかける熱意が強すぎて政治家と対立し五輪前に辞職を余儀なくされた。いまこういう人がいたら、加盟団体の陸連が理不尽な要求に困っているのを見て黙ってはいなかったろう。

 IOCが巨大な利権組織に変貌した一方で国内の団体に強く物をいえる強烈なリーダーがいなくなったのは寂しい。IOCのことだからまだ何か無理難題を突きつけかねない。そのときこそJOCは存在価値を示してもらいたいものだ。 (今村忠)