2019.11.1 05:00

【甘口辛口】人より熱中症リスク高い馬 馬術競技は「馬優先主義」貫き、万全の暑熱対策講じてほしい

【甘口辛口】

人より熱中症リスク高い馬 馬術競技は「馬優先主義」貫き、万全の暑熱対策講じてほしい

 ■11月1日 先月27日の東京競馬場で珍しい光景が展開された。天皇賞優勝の記念撮影に臨んだのは人のみ。主役の勝ち馬アーモンドアイがいなかった。その直前、喜ぶ関係者の元へ戻ってきた天皇賞馬はシャワーで水をかけられていた。「競馬で何度か熱中症になっているから」。心配そうに見ていた生産者のノーザンファーム・吉田勝己代表が教えてくれた。

 レース後に一瞬、手先がフラッとしたため大事を取って表彰式を遠慮。アスリートファーストに基づく行為だった。アーモンドアイの表彰式回避に、東京五輪・パラリンピックで唯一、人間以外のアスリートとして出場する馬術競技の馬は大丈夫だろうかと気になった。

 馬は暑さの中で運動すると熱中症にかかるリスクが人間より高い。レースで熱中症にかかるのは真夏に集中。今年8月に来年の東京五輪と同じ会場で日中に行われた馬術のテスト大会では、出場選手が猛暑の影響を指摘した。関係者によると、厩舎にはエアコンが取り付けられ、会場には馬を冷やすためのミストシャワーや氷水を準備。本番も同様の態勢で臨むという。

 加えて本番のほとんどを気温の下がる夕方以降に実施。そこがテスト大会と異なり、早朝開催による気温上昇に伴う選手の健康への影響を考慮して開催場所が札幌に移る可能性が高まっているマラソン・競歩と違う。

 一部週刊誌が報じた馬術会場の札幌変更はないようだが、真夏の東京は熱帯夜が続く。世界トップの障害馬術馬は数億から十数億円で取引されるという。テスト大会で集めた選手からの声や科学的データを基に「馬優先主義」を貫き、高価な馬が一頭も熱中症にならないよう万全の暑熱対策を講じてほしい。 (鈴木学)