2019.10.31 05:00

【甘口辛口】文科相にあるまじき「身の丈」発言 不公平な英語民間試験、押しつけられる受験生はたまらない

【甘口辛口】

文科相にあるまじき「身の丈」発言 不公平な英語民間試験、押しつけられる受験生はたまらない

 ■10月31日 いくつになってもたまに入学試験の夢を見る。配られた問題を見て「もう少し勉強しておけば」と頭を抱えたところで目がさめるのがいつものパターンだ。まだセンター入試などなく浪人もふつうの時代だったが、いま現実に高校3年に戻ったとしたら「浪人したらアウト」と戦々恐々としているかもしれない。

 「自分の身の丈に合わせて頑張ってもらえば」と萩生田光一文科相が言い放った例の英語民間試験を使う、新たな大学入学共通テストが2020年度から始まるからだ。英語科目では7種類ある民間試験のどれかを高3で最低2回受け、そのスコアが入試センターを通じ各大学に送られるという。

 五輪マラソンの札幌移転に怒った小池都知事ではないが、そんな複雑なやり方を「いつ、誰が、どう検討したのか」だ。試験場が集中する都市圏の生徒は何回も受けてスコアを伸ばせるし宿泊費も必要ない。地域格差が生じる上「身の丈に…」ときては「地方の貧乏人は身の程を知れということか」と、ネットなどで批判が渦巻くのも当然だ。

 さすがに萩生田氏は「身の丈」発言は撤回したが、今月初めの会見では「初年度は精度向上期間」としている。受験生の一生を左右する試験。軌道に乗るまで最初の2~3年が参考期間ならわかるが、いきなりの導入。現高2は精度アップのための“捨て石”にするつもりなのか。

 文科相にあるまじき身の丈発言には、自民党内からも「教育の格差が固定してしまうかのような誤解を招く発言」などと批判が出ている。現場の声を無視した、こんな不公平な試験を押しつけられる受験生はたまらない。マラソンと違い、こちらはまだ再考の余地があるはずだ。 (今村忠)