2019.10.24 05:00

【甘口辛口】ラグビー日本代表の菊池寛賞受賞 泉下の菊池にとって「わが意を得たり」だったろう

【甘口辛口】

ラグビー日本代表の菊池寛賞受賞 泉下の菊池にとって「わが意を得たり」だったろう

 ■10月24日 ラグビーW杯で初めてベスト8進出を果たした日本代表チームが、第67回菊池寛賞を受賞する。芥川賞、直木賞などを主催する日本文学振興会が21日、授賞を追加発表した。文学や映画、演劇など文化の各ジャンルでめざましい功績を残した人や団体を表彰するものでスポーツ界ではイチロー、浅田真央らが受賞している。

 同賞は文壇の大御所といわれ文藝春秋創設者でもある菊池寛が提唱した年配作家の業績をたたえる文学賞だった。菊池の没後昭和28年に復活して現在の形になった。本で見かける丸眼鏡に口ひげ、たばこを手にした写真で見る菊池はいかにも大御所だが、スポーツとは縁遠い感じもする。

 しかし、意外や意外で少年時代から野球、テニス、水泳、卓球となんでもこなした。水泳は伝統泳法の水任流の達人で野球は早大ファン。明治41年に来日したワシントン大との試合を戸塚球場で観戦し、自ら記入したスコアブックと観戦記を故郷香川県高松市の友人に送っている。

 ただ、さすがにラグビーは“ミスマッチ”と思いきや菊池寛記念館(高松市)によると「文藝春秋」昭和5年5月号に寄せた「自分と各種ゲーム」の中でこう触れていた。「一昨年の正月に二、三回見た。ラグビーに関する著書を研究した後、見に行ったので初めてではあったが、たいていわかって面白いゲームだと思った」。

 当時は大学選手権などなく正月の東西大学定期戦のようだが、まずルール研究とはさすが凡慮の及ばないところだ。「さまざまな国から来た選手がワンチームとなり強豪国を破る姿は日本中に勇気を与えた」が授賞理由。泉下の菊池にとってまさに「わが意を得たり」だったろう。 (今村忠)