2019.10.17 05:00

【甘口辛口】目黒女児虐待死、量刑相場も下回った父親の判決 判例の範囲内で収めるなら裁判官いらない

【甘口辛口】

目黒女児虐待死、量刑相場も下回った父親の判決 判例の範囲内で収めるなら裁判官いらない

 ■10月17日 懲役18年の求刑に対して判決は懲役13年。なぜ、そんなに軽いのか首をひねった人も多かったろう。東京都目黒区で5歳の船戸結愛(ゆあ)ちゃんが虐待死した事件の裁判員裁判で、保護責任者遺棄致死罪などの罪に問われた父親の雄大被告(34)に東京地裁が言い渡した判決だった。

 「あしたは もっともっとできるようにするから」「もうおねがい ゆるしてください」。結愛ちゃんはしつけと称して真冬に冷水をかけられ、十分な食事を与えられず顔を拳で何度も殴られたという。日常的にそんな苛烈な虐待を受けながらも、覚えたての平仮名でノートに書いたという魂の叫びを忘れることはできない。

 それでも判決は求刑の「8掛け」といわれる量刑相場も下回った。保護責任者遺棄致死罪の上限は懲役20年だが、10年を超える判決は珍しく最も重くて12~13年という。検察側は「比類なく悪質」と殺人罪並みの刑を求めた。判決は「最も重い部類」と認定したが、「それを超えた量刑とすべき根拠は見いだせない」との判断だった。

 厚労省によると平成30年度の児童相談所の児童虐待相談対応件数は約15万9850件で、警察からの通告の増加もあって前年度から2万6072件も増えて過去最多を更新した。虐待による死亡は平成29年度に心中13人を含め65人もいる。身勝手、未熟、無責任な親たちのせいでまさに幼児受難の時代といえる。

 それだけに、過去の判例をコンピューターに入力し出てきたような判決では時代に合わない。判例の範囲内で収めるなら裁判官もいらない。児童虐待に警鐘を鳴らす意味でも、状況の変化に即し毅然とした判断があってもよかったのではないか。(今村忠)