2019.8.25 05:00

【甘口辛口】役目を終える京アニの献花台 多くの才能を悼む多くの人が足を運ぶだろう

【甘口辛口】

役目を終える京アニの献花台 多くの才能を悼む多くの人が足を運ぶだろう

 ■8月25日 今年の夏は、釣りの取材で夕暮れを海上で迎える機会が多かった。遮る物のない空は日によって、さらに同じ日でも時々刻々目まぐるしく色彩を変えて、同じ景色には二度と出会えない。ときには見とれてしまうこともある。おかげでスマホには日本海や紀淡海峡のさまざまな空が残っている。

 新海誠監督の最新作「天気の子」が興収100億円を突破したことが22日、東宝から発表された。7月19日の公開から約1カ月での大台突破は2016年の前作「君の名は。」から2作連続で、これは宮崎駿監督と2人しかいない快挙。日本映画の100億円突破も「君の名は。」以来となる。

 家出をして離島から東京に出てきた男子高校生が、祈るだけで空を晴れにできる少女と出会う物語。内容や話題を呼んでいるエンディングについては触れないが、日本の誇るアニメーションの豊穣と、新海監督が描くさまざまな空を楽しませていただいた。

 「君の名は。」が公開された16年は、実写では「シン・ゴジラ」、アニメはほかに日本アカデミー賞最優秀アニメーション賞に輝いた「この世界の片隅で」、そして京都アニメーションによる「映画 聲の形」が公開された年だった。あの秀作を、こんな思いで振り返るときが来るなど想像もしなかった。

 今年の夏を忘れられない痛ましい季節にした、京アニの放火殺人事件現場近くに設けられた献花台がきょう25日、役目を終えるという。事件から1カ月たったのを機に京アニが18日発表した。前を向くべきときと判断したのだろう。二度と帰らない多くの才能を悼む多くの人が宇治市に足を運ぶだろう。改めて犠牲になられた方のご冥福をお祈りする。 (親谷誠司)