2019.8.17 05:00

【甘口辛口】謹慎明けた高畑裕太が舞台で仕事復帰 落語「浜野矩随」のように地道に人生をやり直してほしい

【甘口辛口】

謹慎明けた高畑裕太が舞台で仕事復帰 落語「浜野矩随」のように地道に人生をやり直してほしい

 ■8月17日 女優、高畑淳子(64)の長男で、不祥事を起こして謹慎していた俳優、高畑裕太(25)が16日、3年ぶりに舞台で仕事復帰した。詳細は芸能面をごらんいただくとして、ふと思い出した落語がある。25歳のダメ息子を一人前によみがえらせた母親の情愛を描いた人情もの「浜野矩随(はまの・のりゆき)」である。

 折しも、脳腫瘍から復帰した三遊亭円楽(69)が、東京・国立演芸場で20日まで上演している演目の一つ。江戸時代の実在した金物細工職人、浜野が題材だ。刀飾りなどは現在、靖国神社の史料館に収蔵されている名品ぞろい。しかし、落語の中の浜野は当初、名人とうたわれた亡父と正反対のへっぽこだった。

 馬の置物を製作中、居眠りして足を1本切ってしまうほど。技量もなく、ひいき筋の骨董(こっとう)屋から「死ね」と見放される。死ぬ覚悟を決めた後、母親から「死んでもいいが、お前の形見に観音様の立ち姿を作ってくれ」と懇願される。それまで亡父のまねばかりしていた浜野は三日三晩、一心不乱で見事な観音様を彫り上げる。

 それを見た骨董屋も「お前でなきゃできないものを作って初めて、一人前といえるんだ。とうとう、やったな」とお墨付きを与え、やがて浜野は亡父に劣らぬ職人として大成した。ひるがえって、高畑淳子はNHK朝の連続テレビ小説「なつぞら」で好演中。日本を代表する女優の一人でもある。

 裕太が母を超えるのは至難の業だが、その後ろ姿にどんなに勇気づけられたことだろう。落語の浜野と同じ25歳。何がいけなかったのか、今一度しっかりと反省し、魂を込めた仏像を作るように地道に人生をやり直してほしいものだ。(森岡真一郎)