2019.8.9 05:00

【甘口辛口】吉本興業にいま必要なのは神田明神の精神「伝統と革新」

【甘口辛口】

吉本興業にいま必要なのは神田明神の精神「伝統と革新」

 ■8月9日 日本橋や大手町など108町会の総氏神である神田明神(東京都千代田区)は、神社界の革命児といっていい。創建1300年に迫る江戸の総鎮守の今のコンセプトは「伝統と革新」なのだ。

 名誉宮司の大鳥居信史さんいわく「伝統は守るものではなくて作るもの。100年たてば歴史になり伝統になる」。その言葉通り、人気アニメのコラボを実施したり、3年前に始めた「納涼祭り」でアニソン盆踊りを始めたり、次々と新たな伝統を作ろうとしている。

 今年は神社のイメージとはほど遠いeスポーツの大会を境内にある文化交流館で実施するから驚いた。名付けて「神田明神カップ」。eスポーツとは、コンピューターゲーム、ビデオゲームを用いて行う娯楽、競技、スポーツ全般を指す。氏子地域の秋葉原は自作パソコンの聖地でもある。「秋葉原と親和性の高いeスポーツという革新的な文化を神田明神で行うのは、まさに伝統と革新の融合です」と神職の加藤哲平さん。注目の決勝は10、11日に行われる。

 歴史と伝統を守りつつ変化をいとわない神田明神。その懐の深さを知るにつれ、芸能の歴史と伝統にあぐらをかいていたのではといぶかったのが、闇営業を発端とした一連の騒動で数々の問題が浮き彫りになった吉本興業だ。

 中でも昔ながらの慣習で多くの所属芸人と契約書を交わしていないことは、会社の体を成していないとあきれた。小欄が同様のことをしたら法務室に「下請けいじめより悪質」と叱られる。数多の課題を解決するために新設された吉本の「経営アドバイザリー委員会」がちゃんと機能することを願う。吉本がいま必要なのは神田明神の精神、伝統と革新に他ならない。 (鈴木学)