2019.7.27 05:00

【甘口辛口】芸人ファーストを口にした吉本興業の岡本社長に違和感

【甘口辛口】

芸人ファーストを口にした吉本興業の岡本社長に違和感

岡本昭彦社長

岡本昭彦社長【拡大】

 ■7月27日 芸能記者という仕事柄、吉本興業の芸人とは男女の別なく交流がある。ベテランもいれば、テレビの売れっ子や才能はあるのに売れない人などさまざま。その中でも魅力ある芸人に共通するのは、たぐいまれなユーモアはもちろん、周囲の空気を察知する鋭い感性だ。スキあらば人を笑わせようとする芸人魂にはいつも頭が下がる。

 その半面、私生活は破天荒だったりもするが、全て引っくるめて人間くさく、いい意味で普通ではない。それに、吉本の岡本昭彦社長のように、「全員クビ」発言を「冗談のつもりだった」と自己弁護するような芸人は見当たらない。小欄の交際範囲に限れば、むしろ腰が低く人当たりの柔らかい芸人が多い。

 彼らはお笑い文化の生きる財産で、その活躍は年々、公的イベントに至るまで多方面に広がっている。来年の東京五輪も、きっと何らかの形で盛り上げてくれるだろう。そんな彼らを守る立場から、ダウンタウン・松本人志が吉本上層部に対し「芸人ファーストで考えてほしい」と注文をつけたのは分かる。

 が、それを岡本社長が口にしたのには違和感を覚えた。企業運営を優先させないと、個性あふれる芸人を統括するのは難しいからだ。芸人と結ぶと決めた契約書も、彼らが暴走しないよう十分に歯止めも利かせてほしい。片や、芸人も契約書の有無にかかわらず、会社に嘘をつくなどは論外だ。

 難しいとはいえ、基本は芸人一人一人の自覚。日頃から持ち前の五感を生かし、反社会組織の人物やぬれ手でアワのような大金に対し、「君子ならずとも、危うきに近寄らず」を徹底してほしいものだ。これ以上、多くのファンを悲しませ心配させないために。(森岡真一郎)