2019.7.21 05:00

【甘口辛口】「日本の宝」京アニに各地から支援の声 モデル地丁寧に写し取った作品の背後にある何万人、何十万人の日常

【甘口辛口】

「日本の宝」京アニに各地から支援の声 モデル地丁寧に写し取った作品の背後にある何万人、何十万人の日常

 ■7月21日 アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」シリーズの舞台は兵庫県西宮市周辺がモデルだ。作中の「北口駅」「祝(しゅく)川」などの地名は、関西の多くの人が思い当たるそれで間違いない。そして作品を一目見れば、作られた2006年当時の風景がいかに細かく、丁寧に写し取られているかに驚くだろう。私がそうだったように。

 谷川流さんの原作を元に、アニメ化に携わった京都アニメーションのスタッフが克明なロケハンを行ったことが分かる。阪急甲陽園駅から主人公のキョンやハルヒたちが通う北高のモデルになった西宮北高への通学路が途中のベンチまで見事に再現。そこは小欄が大学時代から幾度も通った道でもある。

 北高前の急勾配の坂道から南東に一望できる大阪平野。神戸市東灘区の山手に建つ病院屋上からの阪神間の夜景は、夜の六甲山を訪れたことがある人ならきっと感動を共有できる。これからどんなに街の様子が変わっても、若い頃に生活していた風景が京アニスタッフの目を通して誠実に、現実より美しく残されていることに感謝しかない。

 「けいおん!」は滋賀や京都、「響け!ユーフォニアム」は京都府宇治市、「映画 聲(こえ)の形」は岐阜県大垣市。作品の背後には、そこに住む何万人、何十万人の日常がある。各地から上がる支援の声がそれを証明している。

 京アニを襲った理不尽な悲劇に胸が痛み、全身の力が抜けていく思いを味わった。そして京アニについて、アニメを見ない読者にもっと知ってもらいたい衝動に突き動かされた。「日本の宝」という表現は誇張ではない。亡くなられた方々のご冥福と、被害に遭われた皆さんの一日も早い回復を祈っている。 (親谷誠司)