2019.7.17 05:00

【甘口辛口】八角理事長の称賛がすべてを物語る ゼニが取れる力士・安美錦が引退

【甘口辛口】

八角理事長の称賛がすべてを物語る ゼニが取れる力士・安美錦が引退

安美錦

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 ■7月17日 土俵の名脇役がまた一人消えていく。西十両11枚目、40歳のベテラン安美錦の引退が名古屋場所10日目の16日、明らかになった。平成12年初場所が新十両で、今場所が魁皇(浅香山親方)と並ぶ歴代1位の関取在位117場所目。多彩な技で“ゼニの取れる力士”として、ファンを楽しませた力士だった。

 平成15年初場所中日、東前頭4枚目で横綱初挑戦となった貴乃花戦で送り出しで金星を奪い、翌日貴乃花は引退を表明。大横綱貴乃花の最後の対戦相手として相撲史に名を残した。しかし、同年の名古屋場所で膝の前十字靱帯(じんたい)損傷の大けが。手術せず、けがと付き合いながら取る道を選択した。

 けがで序二段まで落ち再起を目指す伊勢ケ浜部屋の弟弟子、元幕内誉富士はいう。「相撲に対してストイックでジムでのトレーニングに時間を割き、動けないとき以外は休場中でも必ず稽古場に降り足の具合を確かめていた」。今場所も2日目に古傷を痛め休場したが、最後まで再出場を模索し稽古場に降りていたという。

 一昨年九州場所前に起きた部屋の横綱日馬富士の暴行問題では「いろんな方にご迷惑と心配をかけてすみませんでした」と支度部屋で頭を下げた。「突然のことでわからないことが多く、情けない」。触れたくもない弟弟子の不祥事に自ら口を開いたところに誠実な人柄が表れていた。

 この場所は39歳の最年長再入幕で8勝し、敢闘賞を獲得した。「大けがをよく乗り越え、十両に落ちても気持ちを切らさず青森県出身の粘りを見せた。若い力士は見習ってほしい」。八角理事長(元横綱北勝海)の称賛の言葉が安美錦の力士人生のすべてを物語っていた。お疲れさまといいたい。(今村忠)