2019.6.12 05:00

【甘口辛口】高校野球の「なつぞら」に“フタ”は無用 大人の都合で代替は釈然としない

【甘口辛口】

高校野球の「なつぞら」に“フタ”は無用 大人の都合で代替は釈然としない

 ■6月12日 そのタイトル通り北海道の大空の下で家族愛を描いたNHK連続テレビ小説『なつぞら』は舞台がごみごみした東京・新宿に移った途端、視聴率が右肩下がりという。半年も続くドラマだけにマンネリ化しないよう『なつぞら』に“フタ”をしたのかもしれないが、面白さは半減。時節柄『梅雨空』の感は否めない。

 『なつぞら』といえば、全国高校野球の大会歌『栄冠は君に輝く』の「雲は湧き光あふれて 天高く純白の球今日ぞ飛ぶ…」の一節が思い浮かぶ。今夏もそろそろ地方大会の組み合わせが決まるが、東京五輪が開かれる来夏は東西の東京大会の準決勝、決勝が東京ドームで初開催される方向という。

 これまで使っていた神宮球場が五輪の資材置き場になり、来年7月6日から9月13日まで使用できなくなるからだ。空調設備が整ったドームなら熱中症の心配もない。プロの聖地でもあり、将来プロを夢見る選手は「ドームでやれてラッキー」と喜ぶかもしれないが、違和感は拭えない。

 サンケイスポーツ専属評論家の江本孟紀氏は言う。「いま大学選手権を神宮のほかドームでもやっているが、雰囲気は合わない。せいぜい都市対抗の社会人まで。ましてや高校野球とドームは…。代替は仕方ないにしても、すべては五輪のためという大人の都合で釈然としない。野球大国の首都に大きな球場がドームと神宮しかないからこういうことにもなる」

 慣れない天井と照明の下での試合は高校生にとって負担も大きいだろう。雲は湧き、時には雨にも見舞われる自然現象の下で汗と土にまみれてこそ、山あり谷ありのその後の人生に生きてくるのではないか。高校野球の『なつぞら』には“フタ”は無用だ。(今村忠)