2018.11.30 05:00

【甘口辛口】必敗法は今や必勝法に 勝つべき名血馬アーモンドアイ、ファンは凱旋門賞制覇を切に願っている

【甘口辛口】

必敗法は今や必勝法に 勝つべき名血馬アーモンドアイ、ファンは凱旋門賞制覇を切に願っている

第38回ジャパンカップを制したアーモンドアイ

第38回ジャパンカップを制したアーモンドアイ【拡大】

 ■11月30日 「競馬必敗法」を研究しているヒマな男がいる。寺山修司さんによるエッセーの書き出しだ。必敗法の研究者はSF作家で、競馬血統評論の第一人者だった山野浩一さん。競馬に必要なのは「予想」ではなく「理想」であり、「名血の馬こそ勝つべきだ」という強い信念を抱いていた。

 山野さんが「競馬必敗法」を提唱した1960年代、日本競馬は残念ながら彼の理想に達しておらず、名血馬は負けるほうが多かった。同じSF作家で競馬ファンの石川喬司さんは、山野さんをこう論じた。〈自分の買う馬券がハズれること、それはとりもなおさず日本の競馬の後進性の証明に他ならず、氏は損をすることによって、自説の正しさを裏付けつづけることになる。〉。

 昨年7月に亡くなった山野さんが今年、いつも現地で見ていたジャパンCの馬券を買ったら当てたはず。アーモンドアイが芝2400メートルを2分20秒6という驚異的な世界レコードで駆け抜けるのを見てそう思った。

 母はGI勝ち馬で、その父は日本競馬を変えた希代の種牡馬サンデーサイレンス。父は短距離GI6連勝の偉業を達成し、名馬の殿堂入りを果たしたロードカナロア。まさに山野さんが理想とする、勝つべき名血の馬である。医療、飼料、育成、調教の技術・施設全てが向上した結果、日本競馬は名血馬が大レースを勝つことが増え、山野さんの必敗法は今や必勝法になった。

 勝つべき名血馬の代表アーモンドアイは、日本の競馬の先進性を証明するため海外に行く義務がある。陣営は来春のドバイ遠征を表明したが、それで満足してほしくない。ファンは、10月に行われる芝の世界最高峰の一戦、凱旋門賞制覇を切に望んでいる。 (鈴木学)